東京都、横浜市、川崎市の3者は首都圏の中小規模水道事業体の経営基盤強化に向けた取り組みを連携して支援するため、2月20日に「国内貢献プラットフォーム」の設置などを盛る覚書を取り交わした。大規模水道事業体である3者が▽事業統合(多摩地域水道の都営一元化、東京都)▽公民連携(PFIでの浄水場更新、横浜市)▽浄水場の集約・再編(ダウンサイジング、川崎市)―などで培ったノウハウや技術力を生かし、さまざまな課題を抱える中小規模水道事業体をサポートしていく。2017年度から支援事業を順次展開する方針だ。
全国各地の水道事業体では老朽化した水道施設の更新や耐震化に遅れが見られるだけでなく、料金収入の低迷や職員の減少・高齢化といった課題を抱える。とりわけ人材や財政基盤の弱い中小規模水道事業体が水道事業を持続させるためには経営基盤の強化が不可欠で、厚生労働省は適切な資産管理や広域連携、官民連携などを推進できるよう水道法の改正を検討中。日本水道協会(日水協)も水道事業の広域化などに関わる支援体制の構築を検討している。
東京・横浜・川崎の3者による今回の支援策はこれらの状況や動きを捉えた対応。
東京都水道局に「国内貢献プラットフォーム」の事務局を置き、首都圏(日水協関東地方支部内)の中小規模水道事業体から相談を受け付けた上で▽各事業体の特性や得意分野に応じて案件を調整・振り分け▽要請元の水道事業体への相談対応・支援▽各事業体の支援内容の共有・検証、支援メニューのブラッシュアップ―を実施する。日水協とも連携し、プラットフォームでの活動を全国の水道事業体に情報発信する。
覚書の締結式に臨んだ横浜市水道局の山隈隆弘局長は、同局出資の横浜ウォーター会社を通じた水道事業体への支援実績などを紹介しながら「これまで以上に中小規模水道事業体の役に立てるよう取り組んでいきたい」とあいさつ。また、東京都水道局の醍醐勇司局長は「3事業体の持つ強みを最大限発揮して、中小規模水道事業体が抱える課題の解決につなげていきたい」、川崎市上下水道事業管理者の金子正典氏は「漏水事故対応など危機管理に関する技術的支援も同時に行っていきたい」と語った。
提供:建通新聞社