徳島県は、農林水産3分野の各サイエンスゾーンに人材育成と研究開発を推進する拠点を整備するため、2月補正予算案に10億9326万円を計上した。ハード、ソフト事業を一体的に進め、実践力のある人材の育成、もうかる農林水産業の実現を目指す。3月から順次設計を委託する。2017年度内の事業完了を見込んでいる。
「知」と「技」の未来創造拠点整備事業として、新たな価値創出につながる研究開発や実践力の高い人材育成を戦略的に推進できる農業、畜産、林業、水産の各拠点機能の充実強化を図る。全体事業費のうち、ハード事業には9億2470万円を盛り込んだ。
農業拠点では、石井町にあるアグリサイエンスゾーンの拠点「農林水産総合技術支援センター」にオープンラボ機能を有した6次産業化研究施設や水稲・藍などの新用途開発のための調査・研究施設等を整備する。計画では、敷地内にある旧病害虫駆除所(2階建て)の施設を食品加工ができる施設に改修する他、米の乾燥・脱穀作業舎(平屋)の改修、トマトハウス改修(軒高アップ、環境制御設備導入など)、果樹栽培ハウス整備などを図る。事業費は2億6776万円。
畜産拠点では、上板町にある畜産研究課敷地内に、全国1位の地鶏出荷羽数を誇る「阿波尾鶏」を増産するための試験鶏舎1棟や肉用牛「阿波牛」の繁殖・育成研究のための試験牛舎1棟を整備する。試験鶏舎は32部屋(約3000羽を飼育)、遮光性カーテンで光の入らない最新鋭ウィンドレス鶏舎(開放型鶏舎への変更も可能)とし、LED照明による飼育環境で、阿波尾鶏などの品質向上を研究する。試験牛舎は自動給餌ができる省力化ロボットやICTを活用した繁殖・育成モデル(研究)施設(鉄骨造平屋880平方b程度)を見込む。事業費は3億2717万円。
林業拠点では、徳島市南庄町にあるフォレストサイエンスゾーンの拠点「木材利用創造センター」に、木材生産から木材建築まで一体的に学べる研修施設「人材育成加速化施設」などを整備する。建物は木造平屋で500平方b程度の床面積の施設を見込む。林業や木造建築に興味を持つ学生にも焦点を当てており、高性能林業機械シミュレーターも装備する。事業費は2億7889万円。
水産拠点では、海陽町にあるマリンサイエンスゾーンの拠点「県有種苗生産施設」で、アワビの稚貝を増産する巡流水槽(10〜20b)を5台ほど設置する他、ヒラメの種苗施設を伊勢えびの出荷調整が可能な施設に改修する。事業費は1億9900万円。この他「水産研究課鳴門庁舎」でも海藻(ワカメなど)の品種や養殖技術の開発、周辺の海洋フィールドを活用した人材育成に資する海水供給施設(取水パイプ、取水ポンプ設備改修)、船舶係留施設(桟橋)を改修する。事業費は1193万円。
提供:建通新聞社