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西日本建設新聞社
2017/02/17

【熊本】橋口会長「発注ロット拡大」「余裕工期」を 第2回復旧・復興工事情報連絡会議

 「熊本地震等復旧・復興工事情報連絡会議」の第2回会合が13日、テルサであった。熊本県建設業協会の橋口光コ会長は、国土交通省と県に重点要望していた復興係数と復興歩掛が2月から実施されることに感謝した上で、発注ロット拡大と余裕工期設定を強く求めた。県は市町村工事で、被災地域に限らず不調・不落が増加傾向にあるとして、全市町村の55%にとどまっている復興係数・復興歩掛を運用するよう呼びかけた。県(土木部・農林水産部)と市町村は、通常工事を含め4205件・803億円を第4四半期に発注する。
 連絡会議は昨年10月、熊本地震からの復旧・復興工事を円滑に進めようと国、県、市町村、建設業団体で立ち上げた。今回の主な議題は、▽復旧復興工事の進ちょく▽不調・不落▽今後の発注計画▽資機材・労働力確保の現状と課題▽円滑な施工確保対策▽関係機関が抱える課題。
 進ちょく状況で、九州森林管理局は査定決定額16億9000万円(23件)のうち5億8700万円(4件)を契約。県は、市町村を含めた公共土木施設災が5005カ所、農林水産施設災が5324カ所あり、契約率は27%、8%と報告した。
 不調・不落について、県は全2141件の1割にあたる224件で発生した。応札者無しが全体の74%を占める。業種別では土木159件、建築44件だが、発生率でみると建築は48%となり、土木の12%と比べ際立って高い。地域別(本庁除く)では熊本が60件と最も多く次いで阿蘇39件、上益城30件。金額別では300万円から4000万円までが148件と全体の66%を占める。県は今回初めて市町村発注工事の状況もまとめた。1月末までに431件の不調・不落が発生。熊本市が126件と全体の3割を占めるが、天草77件、鹿本41件など被害が小さかった地域でも発生し、1000万円未満が全体の76%を占めている。
 今後の発注計画では、九州農政局が3月までに復旧・復興工事6件、通常工事1件を発注。県は第4四半期に1435件444億円、平成29年度第1四半期に228件170億円、第2四半期に205件156億円。市町村は第4四半期に2770件359億円、29年度第1四半期に2349件196億円、第2四半期に1138件154億円を発注するとした。
 資機材や労働力の需給価格動向は、専門工事業団体や建設業団体に聞き取り調査し、在庫は砕石や再生砕石などが「やや品不足」、価格は異形棒鋼やH形鋼などが「やや上昇」、労働者の確保は交通誘導員が「困難」、ほか全職種は「やや困難」となっている。
 こうした状況を踏まえ、円滑な施工確保対策として、熊本県は、これまでの取り組みに加え▽受注者の資金繰り対策について県内金融機関と西日本建設業保証に今週中にも要望▽災害関連工事受注業者への総合評価方式の加点検討▽遠隔地からの労働者確保の間接費設計変更で「距離30`以上または時間60分以上」に緩和―の追加策を報告した。
 出席した市町村担当者に対し九地整の小平卓企画部長は「品確法一部改正により品質の確保と担い手の確保育成が示されたが、平たく言えば、依頼した仕事に対し適切な対価をきちんと払おうということ。発注者が適切に見積もりして適切に契約することが、労働者の生活の安定に繋がり、最終的には熊本の復旧復興に資する」、県土木部監理課の藤本正浩課長は「復興係数と復興歩掛、適切な工期設定、明許繰越の活用などを実施してほしい」と受注者への配慮を求めた。手島健司土木部長は、28日に開く県と市町村長との意見交換会の中で、不調不落対策を議題にする考えを伝えた。
【熊建協 5項目要望】
 会議の席上、橋口光コ会長は、更なる対策5項目を発注者に要望した。
 概要は次のとおり(抜粋)
 ▼発注ロット拡大=1件あたり工事額が小さく工事効率が悪いため被災地以外でも不調不落が発生している。合冊など発注ロットの拡大をお願いしたい
 ▼余裕期間制度と工期延長=労働者や資機材の入手難等で予期しない工期を要する場合があり受注を見送る業者が増加している。余裕期間設定や、施工効率低下による工期延期への柔軟な対応をお願いしたい
 ▼円滑な設計変更実施と書類の簡素化=図書と現場が乖離している場合が多い。限られた復旧事業予算のため設計変更が避けられるケースが多い。適正な利潤確保への配慮と提出書類簡素化をお願いしたい
 ▼受注事業者の施工体制確保=やむを得ず県外業者に発注する場合は、下請事前確保を条件とし、県外から調達するよう徹底してほしい
 ▼受注事業者の資金需要確保=工事契約保証や受注後の資金融資等、金融機関等に対しての支援要請をお願いしたい。

提供:西日本建設新聞社
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