北海道建設新聞社
2017/02/16
【北海道】札幌・狸小路5丁目でホテル計画相次ぐ−アーケードに注目
来道する外国人観光客の需要を取り込もうと、札幌狸小路商店街で道外企業によるホテル計画が相次いでいる。新たな開業は西5丁目エリアに集中し、2017年度は2カ所がオープンする予定。形態は新築や既存ビルをコンバージョンしたりとさまざま。商店街で店を構える事業主の高齢化に伴い、施設の老朽化や空き店舗が課題として挙がる中、アーケードのある立地環境に注目した再開発が動きだしている。
飲食店や土産店など約200軒が西1―7丁目にわたり連なる狸小路商店街。中でも5丁目エリアは、観光情報や両替サービスなどを提供するJTB運営の「北海道ツーリストインフォメーションセンター札幌狸小路」やドラッグストア「サツドラ」など、訪日外国人向けの店舗が充実し、人気を集める。
このエリア内では、飲食店などの商業店舗だけでなく、観光客を取り込もうとホテル事業に進出する道外企業が相次ぐ。
不動産総合サービスのザイマックス(本社・東京)は、15年11月にアーケード内の通路に面する商業ビルと土地を取得。同社が展開する宿泊特化型の「からくさホテル札幌(仮称)」として新築開業する。13階建てで、177室を設ける予定。11月末の完成を目指して工事を進めている。
サンケイビル(本社・東京)も通路沿いの旧35Lビル(S一部SRC造、延べ1161m²)を昨年8月に購入した。こちらは建て替えではなく、「8カ月程度でホテル運営が開始できる」(同社担当者)との考えから既存ビルをコンバージョンする手法を採用。耐震性の高いビルが見つかったことも理由の一つに挙げる。
内部を中心に改装し、130人が収容できる低価格ホテル「GRIDS(グリッズ)札幌」として6月にもオープンする。
いずれも外国人観光客が集まる繁華街といった立地を考慮し、開業を決めたという。
同商店街にある宿泊施設は、ホテルサンルートニュー札幌、ドーミーイン札幌本館など4丁目から7丁目にかけて計6カ所。
このうち5丁目はウォーターマークホテル札幌のみで、17年度中には3店舗になる予定。同ホテルの担当者は、新規ホテルが増えることに関して「他店が海外客に目を向ける中、国内客の集客に力を入れていきたい」と強調。独自の取り組みで差別化を図る考えだ。
近年、狸小路商店街は外国人観光客でにぎわいを見せる一方で、更新時期を迎える木造店舗や事業主の高齢化に伴う閉店が増えている。そうした中、価格が高騰する札幌駅前の物件を敬遠し、雨や雪がしのげるアーケード内の不動産に注目する企業も少なくない。
札幌狸小路商店街振興組合の担当者は「空き地、空き店舗の解消にうまくつながっている」と述べ、今後の再開発や店舗活用の動向を注視している。