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北陸工業新聞社
2017/02/16

【石川】大地と繋がる平屋建築/来春着工、19年春完成/小松の九谷焼創作工房整備/隈研吾氏が概要説明/

 石川県九谷窯元工業協同組合(宮吉勝茂理事長)が小松市内で計画する「(仮称)九谷焼創作工房整備」について、世界的建築家の隈研吾氏が15日、基本設計の概要を小松市役所で説明した。順調なら来春の着工、19年春の完成を目指す。
 同市若杉町の現製土場(S造平屋建て、敷地約1800平方メートル)を老朽化のため、現在地で建て替える。新施設の建設規模はW造平屋建て630平方メートル。敷地を2700平方メートルに拡大し、現工場で行っている粘土製造を止めないよう、工事を3期に分けて進める。
 隈氏の説明によると、小松精練の緑化基盤材「グリーンビズ」を建物の屋根に採用。植物を植えた屋根が地面とつながり、周囲の田園風景に溶け込む外観となる。敷地内には工場や工房体験ゾーン、ホール、販売展示ゾーンなどを配する。工場は開かれた視認性の高い空間にする。利用者の憩いの場となる外土間も備えるという。
 隈氏は、昨年12月下旬に同製土場を訪問し、九谷焼の粘土の製造工程などを視察したことを振り返り、「手で作っているプロセスが非常に生々しく、観光資源としていけると思った。やり甲斐のある設計」と述べた。
 建設事業費には、小松精練の寄付による企業版ふるさと納税制度として1億円を利用する。小松市の石文化が日本遺産に認定され、機運が盛り上がっていることも踏まえ、九谷焼の交流拠点をリニューアルし、伝統工芸に理解を深める教育・産業観光施設としての機能を充実させる。
 新施設では、地元で産出される花坂陶石から粘土生成まで各製造過程を公開し、来場者が九谷焼の美と技を体感できる場にするとともに、若手クリエイターの育成施設としても活用する。

hokuriku