石川県は、金沢市出羽町地内で計画する「東京国立近代美術館工芸館」移転整備事業について、現在進めている基本設計業務を年度内に終え、新年度から実施設計に移行していく。当初予算案に実施設計委託料の計上が有力となっている。
建設規模はRC造一部W造地上2階、地下1階建てで、延べ床面積2500平方メートル程度。施設内部は適切な温度・湿度管理等ができる美術館仕様とし、明治期に建てられ、外観に活用する「旧陸軍第九師団司令部庁舎」及び「旧陸軍金沢偕行社」(ともに国登録有形文化財)は解体撤去部分も完全に復原して建設時の姿を再現。2つの建物を渡り廊下で結び、工芸館の移転施設に充てる。
計画では、正面左側に第九師団司令部庁舎、右側に金沢偕行社を配し、それぞれ過去に解体、撤去された両翼、講堂を復原する。渡り廊下で繋ぐほか、中央部にはバリアフリー対応の出入口(エントランスホール)を設ける。主要施設として展示室、収蔵室をはじめ、事務室(展示受付)、資料室ライブラリー、ミュージアムショップ、カフェ、会議室、倉庫、男女・多目的トイレ、地下機械室などを配する。
建設予定地は「兼六園周辺文化の森」ゾーン内で、いしかわ赤レンガミュージアムと県立美術館との間の敷地(県庁出羽町分室・旧藩老本多蔵品館跡地)となる。
国立工芸館の移転整備に関して、谷本正憲知事は「基本設計の段階まで事が進んでいるが、さらに実施設計の予算を(新年度当初予算案に)計上し、2020年の東京オリンピック開業時にはオープンできる環境を作り出さねばならない」とし、加えて「着実に整備を進めることで石川の文化の土壌に厚みを加え、魅力を高めることになる」などと、先の会見で記者団に語った。
基本設計業務は山岸建築設計事務所(金沢市中村町)が担当。履行期間は3月28日まで。