東京都下水道局は、2016〜20年度の5カ年を期間とする「技術開発推進計画2016」を策定した。下水道サービスの維持・向上を目的に、再構築や浸水対策、震災対策などに関連する53のテーマを設定。新たに技術経営(MOT)手法を取り入れながら、画期的な技術・アイデアを創造・開発するためオープンイノベーションを推進する。IoTや人工知能をはじめとしたICT、ロボットの活用にも重点を置く。
下水道事業が直面する課題や将来を見据えた課題を解決するため、下水道局自らが技術開発を進めるとともに、民間企業や大学などと共同研究を行うことで、新たな技術を生み出し、下水道サービスの向上につなげる。
技術開発を効率的に進めるための取り組みとして、@MOT手法の活用Aオープンイノベーションの推進B共同研究の活性化C下水道界の技術力の向上―の4点に重点を置く。
その上で、再構築や浸水対策、震災対策などの施策ごとに、計画期間内に取り組む53の開発テーマを設定した。
例えば維持管理の関連では、「大深度の下水道管の点検調査・清掃を容易に行う技術」として、作業ロボットを活用して大深度にある下水道管などの維持管理を無人化・省力化する技術を挙げた。
震災対策では、「更生工法による断面縮小を抑えて下水道管の耐震性を向上する技術」を一例として提示。更生工法に補強材を組み合わせることで裏込め材による断面縮小を抑え、耐震性能の向上と流下能力の確保を両立させる技術を開発・導入する。
エネルギー・地球温暖化対策に関しては、「焼却廃熱を一層活用した発電と省エネルギーをさらに推進する技術」の開発に取り組む。バイナリー発電などを組み込んで汚泥焼却時の廃熱を活用した発電を行い、汚泥処理施設や水処理施設に必要な電力を賄うことを狙う。
提供:建通新聞社