徳島県は、県民の住生活の安定の確保と向上の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進する「第3次徳島県住生活基本計画(案)」をまとめた。少子高齢化や人口減少の急速な進行といった社会情勢の変化への対応や施策の効果に対する評価を踏まえ、2016年3月に策定された住生活基本計画(全国計画)に即して現行計画(第2次、11〜20年度)を見直すことにした。計画期間は16〜25年度までの10年間。2月末までパブリックコメントを実施し、3月中の計画策定を目指している。
同計画(案)は、全国計画で示された方向性に、災害対策や地方創生といった県の地域性を加味した視点を加え、これからの住宅政策における理念や基本的な方針、推進すべき施策や目標を定め、県民や市町村、民間事業者などに県の目指す住生活の在り方を示すもの。計画(案)では「南海トラフ巨大地震等による甚大な被害」「人口減少や空き家の増加等による地域の活力や魅力の低下」「少子高齢化の進行やひとり親世帯等の増加に対するハード・ソフト両面でのセーフティーネットの必要性」「既存住宅流通や省エネルギー化・耐震改修の伸び悩み等によるストック活用型市場への転換の遅れ」「大工技能者等の減少による空き家再生、リフォーム等の担い手確保への懸念、県民が安心して質の高いリフォーム等を行える環境整備の必要性」−などを課題に挙げた。
施策の推進に当たっては「性能が高く良質な住まいづくり、安全安心で魅力あるまちづくり」「住生活産業を担う人材の育成、良いものが消費者等に選ばれる市場環境整備」「市町村による、総合的なまちづくりの視点に立った、戦略的な施策の実施」の基本方針を掲げた。@災害に強い住環境の構築A地方創生の推進B安心して暮らせる住生活の実現Cストック活用型市場への転換の加速D住宅政策を支える市場環境の整備−の五つの視点で、施策の成果指標(数値目標の設定)などを基に総合的・計画的に推進することにしている。
基本施策実現のため計画(案)に盛り込まれた数値目標は次の通り(▼は再掲)。
@災害に強い住環境の構築
▽耐震基準(1981年基準)が求める耐震性を有する住宅ストックの比率(2015年度77%→20年度100%)▽「空家等対策計画」を策定した市町村数(15年度0市町村→25年度24市町村)▽地震時等に著しく危険な密集市街地の面積(15年度約30f→20年度おおむね解消)▽老朽危険建築物の除却戸数(10年度からの市町村による補助件数の累計)(15年度294戸→25年度2000戸)
A地方創生の推進
▽空き家判定士による利活用可能な空き家の判定件数(15年度からの2次調査件数の累計)(15年度−→25年度400件)▽福祉・交流等の拠点づくりに空き家等を活用する市町村数(計画期間中)(15年度−→25年度24市町村)▽新築の木造住宅における認定長期優良住宅の割合(14年度13・2%→25年度22%)
B安心して暮らせる住生活の実現
▽高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合(2・2%→25年度4%)▽高齢者居住安定確保計画を策定した市町村数(15年度−→25年度24市町村)▽高齢者の居住する住宅の一定のバリアフリー化率(13年度39%→25年度75%)▽子育て世帯(18歳未満が含まれる世帯)における誘導居住面積水準達成率(13年度51%→25年度60%)▽最低居住面積水準未満率(13年度2・7%→早期に解消)
Cストック活用型市場への転換の加速
▽既存住宅の流通シェア(既存住宅の流通戸数の新築を含めた全流通戸数に対する割合)(13年度8・9%→25年度20%)▽リフォーム実施戸数の住宅ストック戸数に対する割合(13年度4・3%→25年度8%)▼新築の木造住宅における認定長期優良住宅の割合(14年度13・2%→25年度22%)
D住宅政策を支える市場環境の整備
▽既存住宅流通量に占める既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入した住宅の割合(14年度3・6%→25年度20%)▼既存住宅の流通シェア(既存住宅の流通戸数の新築を含めた全流通戸数に対する割合)(13年度8・9%→25年度20%)▼リフォーム実施戸数の住宅ストック戸数に対する割合(13年度4・3%→25年度8%)▼新築の木造住宅における認定長期優良住宅の割合(14年度13・2%→25年度22%)
◇公営住宅の供給目標量(16〜25年度までの公営住宅の新規の建設、買い取りの戸数、建て替えによる建て替え後の戸数、民間住宅等の借り上げの戸数ならびに既存公営住宅の空き家募集の戸数合計)−目標6950戸
提供:建通新聞社