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日本工業経済新聞社(埼玉)
2017/02/08

【埼玉】設監協が高齢者・子育て関連施設見学会

 埼玉建築設計監理協会(田中芳樹会長)は3日、県、市町村職員らを対象に、学校跡地・団地再生創設地を活用した高齢者・子育て関連施設の先進的な取り組み事例として、UR都市機構草加松原団地『さいゆうビレッジ』と、東京都内の施設2箇所を巡る実例見学会を行った。行政と民間事業者がどのようにまちづくりに関わる仕組みをつくってきたか、現地で実際のまちの構造や建物を視察しながら、事業者、官庁、URから説明を受けるとともに、敷地活用の公募要領、設計コンセプト、施設管理者の感想などを聞いた。高齢者対策と子育て世代の支援の両面をカバーする方策として、多世代で暮らす仕組みづくりを学び、今後の事業実施の参考とした。
 見学会はJR大宮駅西口からバスで移動。車内であいさつした田中会長は「少子高齢化による社会問題について行政、当事者だけではなかなか解決が難しい状況にあります。設監協では専門家集団として対応していく必要があると考えています。今すでに学校が閉鎖されたり、限界団地、空き家対策などの問題があります。大きなコミュニティーが崩壊するということは地域そのものも崩壊していくことになりかねず、お年寄りから子どもまでが楽しく暮らせる地域の再生を我々も提案していかなければなりません。サスティナブルな社会を構築するため、皆さまと協働で社会問題に対応していければと考えております」と、少子高齢化の解決の糸口としてコラボレーションの重要性を述べた。
 一行がこの日訪れたのは、まず都内の2施設で、総合ケアセンター『若葉ゆめの園』(板橋区)、『木下川吾亦紅』(墨田区)の順で見学。それぞれ地域交流スペースで施設長、区担当者から当時地域が抱えていた問題、住民からの要望、計画立案までの過程、事業者選定、設計内容などについて説明を受けた。
 統廃合により廃校となった旧板橋区立若葉小学校跡地を利用した若葉ゆめの園は、福祉避難所としての活用と合わせ、健康増進、介護予防、地域コミュニティーの場を提供。また、旧墨田区立木下川小学校跡地に整備中の吾亦紅は、敷地の半分を区が定期借地として貸し、福祉施設、診療所などの複合施設を整備。上階に避難所を設け、浸水時の対応も検討中。
 県内に戻り、草加のさいゆうビレッジではハーモネスタワーで事業者のUR側から、大規模団地としての都市づくりのコンセプト、土地利用構想(グランドプラン)、段階的な整備スケジュールなどを聞いた。市、獨協大学、URの3者連携による多様性に富んだ居住空間の提供が特長で、持続可能な地域社会とするための環境への配慮、防災設備の充実なども参加者の目を引いた。
 施設説明後はタワーの屋上に移動し、まちの形状や建物配置などを確認したほか、団地内を徒歩で視察。さまざまな対策と工夫を実際に見て回った。
 松原団地の再生創設地を活用したさいゆうビレッジは、多世代にわたって団地入居者が住めるよう、病院のほか、クリニック、保育園などを誘致。段階的に大規模な街づくりが行われている。
 同協会では、国土交通省が目指す都市集約(コンパクトシティ)形成の実現に向け、人口減少、高齢化時代をにらんだ都市問題に取り組んでおり、今回の見学会もその一環として企画された。