日本工業経済新聞社(山梨)
2017/01/31
【山梨】県総合計画審議会が中間報告
県の総合計画審議会は、中間報告を後藤斎知事へ提出した。そのうちリニア中央新幹線関係では「リニア開業後の将来計画を策定するなど、県民に方向性を示されたい」「リニアの橋脚や橋の施工に地元建設業が関われるよう支援されたい」などの意見があった。
建設業関係では、「建設業の担い手不足は深刻。将来の担い手を確保するため、小中学校でも建設業に関する職業教育に力を入れて、積極的に取り組んでほしい」という意見や、「緊急災害時などに地元建設業者が円滑に活動できるよう、人材育成・地元業者の育成と維持に取り組んでほしい」と提言した。
審議会では、総合計画について5部会において、県の施策などを調査。今後実施することが望ましい事業などを中間報告としてまとめた。そして、委員から寄せられた意見内容に十分留意し、来年度以降の施策の積極的な推進に期待すると望んでいる。
審議会の5部会で出された主な意見は次のとおり。
【基幹産業発展部会】
◆企業誘致
・データセンターを県内に誘致すると人材や周辺施設が県内に集まってくるなど大きな利点があるので、誘致を検討してほしい。
・企業誘致は、県内立地企業の県外下請け中小企業や下請けを持たない独立系の企業など、ターゲットを絞って行う必要がある。
・県内の既存施設や空きスペースを提供するなどして、IT産業などの県外企業に短期間の試験運転を提案したらどうか。
◆エネルギー
・電気代が安くなる「やまなしパワー」は製造業に有益であるので、もっと拡大してほしい。
・太陽光発電、エネファーム、蓄電池などを設置して補助金を受けるのは富裕層であることから、生活弱者が置き去りにされることのないようにされたい。
【地域産業元気部会】
◆観光
・県内インバウンド観光の急成長に伴い、富士北麓地域や八ヶ岳山麓での国際会議誘致のための地域振興策を再検討すべきである。
・リピーターを増やすため、公衆トイレの整備や管理を充実してほしい。
・ワインリゾート構想が実現できるよう取り組みを進めてほしい。
◆森林・林業
・オリンピック施設に県産材が使用されるよう働きかけ、山梨の林業の活性化を図ってほしい。
◆その他
・甲府城南側エリアの整備計画の策定にあたっては、民間企業との連携や民有地の積極的な活用を検討してほしい。
【まなび・子育て環境部会】
◆教育
・峡南地域の高校再編について、生徒や地元住民の期待や地域の人材育成のニーズに対応できる高校づくりをしてほしい。
◆スポーツ
・サイクルネットワークは、観光にも役立つものなので、それに資する道路整備などを進めてほしい。
【健やか・快適環境部会】
◆防犯
・公園について、事故防止だけでなく防犯上の観点から防犯カメラなどの整備をしてほしい。
【安全安心・交流基盤部会】
◆消防・防災
・災害時の水確保のため、開発に伴う井戸掘削と義務化と助成制度創設を検討されたい。
・災害発生時に、県、国、市町村のそれぞれが建設業界と協定を締結しているが、能率的に動くため、ワンストップで動けるようにしてほしい。
・緊急災害時などに地元建設業者が円滑に活動できるよう、人材育成・地元業者の育成と維持に取り組んでほしい。
・道路の耐震化に併せて、電柱や沿線の建物の対策も必要である。
・耐震診断については、人命や財産の保護、避難路などの確保のためにも積極的に進めてほしい。
・防災面から、河川内の立木除去を進めてほしい。
・家庭向け火災報知器の設置について、引き続き啓発活動を推進してほしい。
◆リニア
・リニア中央新幹線が開通した後の将来計画を策定するなど、県民に方向性を示されたい。
・リニア環境未来年の大津町周辺だけでなく、県下全体がリニアの恩恵を享受できるような施策展開をしてほしい。
・リニアの橋脚や橋の施工に地元建設業が関われるよう支援されたい。
◆その他
・ラウンドアバウト交差点は停電時にも利用でき、全国で死亡事故ゼロという実績も踏まえ、部局間で連携して県内に積極的に取り入れてほしい。
・建設業の担い手不足は深刻になっている。将来の担い手を確保するため、小中学校でも建設業に関する職業教育に力を入れて、積極的に取り組んでほしい。
・横断歩道などの道路標示が摩耗している箇所について、運転者、歩行者がしっかり認識できるよう整備が必要である。