日刊建設工業新聞
2017/01/31
【鳥取】総合評価入札などで質疑応答 県建築士事務所協会と意見交換
県建築士事務所協会(霜村將博会長)と県総務部営繕課との意見交換会が26日、県庁で開かれた。この日の大きな議題は、県が品確法に基づき2017年度から建築関係コンサルタント業務でも実施を予定している簡便型総合評価方式の評価方法(配点)で、県が8月31日に説明した素案(タタキ台)をもとに意見を交わした。結論から言えば、すでに新年度(4月)からの適用で協会の合意が得られているこの方式については、県土整備部がすでに実施している測量等総合評価入札の要綱に準じて評価される。
具体的な実施に当っては、県は「(県中部地震もあり)十分な検討ができていない」として、「今日の意見を踏まえて要綱を決め、4月から適用したい」と話すように、例えば、前回示した上限を3人とした一級建築士など技術者数の取り扱いについては、今後、調整(論点整理)しながら柔軟に対応する姿勢を示した。
すでに総合評価方式を導入している土木関係工事や測量等業務でもそうだが、この方式で問題となるのは、「競争性を担保しながら、いかに受注機会の均衡を保つか」。例えは悪いが「怒った表情をしながら笑う?」というように、最終的な制度設計には微調整も必要だ。具体的には、現在、一級建築士4人以上の保有を要件としているAランクの技術者数の加点については、例えば、30人近い技術者を抱え、Aランクの中でも突出している白兎設計事務所と4〜5人の設計事務所をどう比較するか。確かに、「立ち位置」によって利害関係が大きく異なるため、その取扱いは難しいが、品確法が求めている(技術者の保有数を含めて)優秀な企業によりインセンティブを与えるのは当然としても、「落しどころ」を見つけるのは、なかなか難しい作業だ。この日も、受注を大きく左右する入札価格点数、JVや2〜3年にまたがる業務の減点方法、地域点(の考慮)など多くの質疑があったのも経営の根幹に関わる問題だから当然だ。
また、県がこれまでに「Aランクの絞り込み」を示したランクの見直しについて、協会が「(町村など県の基準を適用していることから見直しの影響は大きい。また、雇用の確保の観点などから現行通り運用していただきたい」と要望したに対して県は、協会の要望通り、当面は見直す考えがないとの認識を示した。
一方で、Aランクの委託対象の設計金額が原則として900万円以上の発注基準額の引き下げについて県は、県内のAランクとBランクの受注のバランスを勘案すると「現在の受注状況では見直す必要はない」との見解を示し、「今後の受注状況を注視しながら、柔軟に対応したい」と回答した。
また、先に行われた県建設業協会(下本八一郎会長)との意見交換会で「47都道府県で最後の県になってもいいのでは…」と協会側から断固反対された予定価格の事後公表について県は、「営繕工事でも合意(ご理解)が得られていない」として、設計業務についても現行通り事前公表する考えを示した。意見交換会には、協会から霜村会長、足立收平相談役、井手添誠副会長、県から宮脇儀裕課長、太田垣順参事らが出席した。