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建設経済新聞社
2017/01/31

【京都】近畿地整が事業評価監視委 天ヶ瀬ダム、継続「妥当」

 近畿地方整備局はこのほど、28年度第5回事業評価監視委員会を開催。天ヶ瀬ダム再開発事業について、「おおむね適切であり、対応方針(原案)の通り、事業継続することが妥当」と判断した。
 近畿地整が宇治市で進める天ヶ瀬ダム再開発事業では、左岸側にトンネル式放流設備(内径10・3m、延長617m、計画放流量600m3/s)を建設しているが、脆弱層(破砕帯)への対応等で基本計画を変更。トンネル掘削時の先受け工法の見直しや、補償工事工法の見直し等によりコスト縮減を図ったが、事業費は約430億円から約160億円増額し、約590億円となる。
 事業費の主な増額要因は@破砕帯の対策工の追加A重金属処理の追加。
 主なコスト縮減事例は、@トンネル掘削時の先受工法の見直し(地質条件からパイプルーフ工法としていたが、詳細に地質調査を行った結果、仮設工が簡素化可能なAGF工法を採用)A補償工事の工法の見直し(現白虹橋右岸側橋台を存置し橋台撤去工を省略、府営水道の仮設配管配置計画を見直し仮設配管延長の縮減等)。
 破砕帯の範囲が事前調査結果よりも広く出現したことで、対策工の追加が必要となり、調査・設計・対策工事の期間が33ヵ月必要で、工期は30年度から33年度に3年延長する。
 事業進捗状況によると、現在、トンネル式放流設備を継続して実施している。28年度末時点で事業費は約397億円を投入しており、進捗率は約67%(増額後の約590億円に対する割合)。
 事業を継続するとした対応方針案に関係府県から異論はなかったが、京都府からは「今後は事業費の増額や工期の延長がないよう、徹底した費用の縮減を行うとともに、工期を厳守し早期完成を図られたい」、大阪府からは「建設費用の縮減及び早期完成に努めるとともに、建設に係る事業の執行に際し、学識経験者により構成される第三者委員会等において厳正に監理を行うことを求める」、滋賀県からは「工期短縮に努め早期完成を図られたい」とする意見があった。