東京都都市整備局は、特定緊急輸送道路沿道建築物の2016年12月末現在の耐震化の状況をまとめた。対象となる建築物のうち耐震性を満たす建築物の割合は前年同期比1・8ポイント増の82・7%、耐震診断の実施率は2・4ポイント増の96・1%となった。一方、耐震診断を行っていない建築物が187棟、耐震性の不足が判明したものの改修工事に未着手の建築物が3008棟あることから、建物所有者らにアドバイザーを派遣して助成制度の活用を促すなど、対策の実施を積極的に働き掛けていく方針だ。
対象となる沿道建築物1万8464棟のうち、新耐震基準で建てられた建築物は1万3613棟、旧耐震基準による建築物は4851棟ある。旧耐震基準の建物では4664棟(96・1%)で耐震診断を実施しており、このうち1656棟で耐震改修などの対策が完了した。新耐震基準の建築物と合わせた「耐震性を満たす建築物」は1万5269棟となり、耐震化率は前年同期を1・8ポイント上回る82・7%となった。
ただ、耐震診断を実施していないため耐震性が不明な建築物が187棟、耐震診断を受けたものの対策を行っていない建築物も3008棟ある。
都は15年度末に策定した新たな耐震改修促進計画で、沿道建築物の耐震化率を19年度末までに90%、25年度末までに100%とする目標を設定。これを実現するため、耐震改修に未着手の建物所有者を直接訪問し、耐震化を働き掛けている他、所有者の要望に応じてアドバイザー(建築士)を派遣し、無料で改修計画を作成する事業を16年度に開始した。こうした取り組みを通じて、耐震診断や設計・改修工事の実施につなげていく方針だ。
提供:建通新聞社