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建通新聞社(神奈川)
2017/01/24

【神奈川】川崎市 川崎病院の機能再編へ基本構想 増築・改修を検討 民間資金活用も視野

  川崎市は、「川崎市立川崎病院医療機能再編整備基本構想」(案)をまとめ、19日の市議会健康福祉委員会に報告した。川崎病院の医療機能再編整備に当たっては、経営面にも配慮し、既存建物の有効活用を前提とした増築・改修を検討。エネルギー関連設備の更新に当たっては、効率化により削減されるエネルギーコストなどを財源とするESCO事業など、民間資金の活用についても検討するとした。17年度に機能強化・拡充の具体的な方策を検討し、「川崎市立川崎病院医療機能再編整備基本計画」として内容を具現化する。
 基本構想案ではまず、川崎病院について、今後増加する医療需要を見据えながら引き続き的確に対応するとともに、「病院完結型」から「地域完結型」への医療提供体制の見直しなどに対応するため、ハード、ソフトの両面で医療機能の再編整備を進めるとした。強化・拡充を検討する具体的な機能としては▽救急機能▽がん診療機能▽小児・周産期医療機能▽手術機能―など9項目を挙げた。
 救急機能では処理ベッドの拡充など必要なスペース・機器などの施設面での整備についても検討。手術機能としては、今後のニーズなどを踏まえた適正な手術室の室数・スペースについて検討するとともに、術後管理に使用する集中治療室(ICU)などについても、必要数やプライバシーに配慮した個室化などを検討する。
 診察室・処置室については、紹介患者の増加に伴い、患者1人当たり診察時間や処置などが増加していることから、適正な広さや部屋数の確保、さらにはプライバシーへの配慮も含めた見直しを進める。
 川崎病院は、A棟(外来棟)が鉄骨造4階建て、B棟(病棟、ヘリポート)が鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造地下1階地上15階、C棟(中央診療棟)が鉄骨鉄筋コンクリート造5階建て、延べ床面積4万9925平方b。病床数713床、駐車台数179台。
 建物竣工(B、C棟)から18年が経過していることから、施設面などで狭隘化と老朽化が課題になっている。また、既存建物完成以後に救命救急センターや地域周産期母子医療センターなどの整備と、それに伴う医療従事者の大幅増員などを行ってきたことから、既存建物内でこれ以上、機能拡充を行うことは難しい状況。今後の医療需要に対応していくためには、増築などによりスペースを確保していく必要がある。
 ただ、増築・改修には制約もある。増築可能面積は最大建築面積から現状建築面積を差し引いた約9600平方bだが、敷地内には駐車・駐輪スペース、増築・改修工事の作業スペースを確保しなければならず、立体駐車場の整備も検討する必要がある。また。増築可能な延べ床面積は約9200平方bだが、増築に伴い電力会社からの受電が増加し、特別高圧受電となると、受電設備設置のための大きなスペースと多額の費用が必要になる。
 このほか、B棟は特殊な構造で国土交通大臣の認定により建築許可を受けているため、床面積が増えるよう改修する場合、再度の大臣認定を受ける必要があり、構造計算などに多額の費用と数年の期間がかかる見込みだ。
 提供:建通新聞社