建通新聞社(神奈川)
2017/01/18
【神奈川】川崎市 都市マス全体構想の改定案公表 鉄道軸にコンパクトなまちめざす
川崎市は、都市計画の基本的方針を示す「川崎都市計画マスタープラン全体構想」の改定案をまとめた。都市構造について、少子高齢化の進行や人口減少を見据えたコンパクトで効率的なまちづくりの考えた方を新たに提示。また、拠点整備の波及効果を活用し、より身近なまちづくりを推進するため、市民の生活行動圏に着目した鉄道沿線のまちづくりの考えた方を新たに示した。改定案は1月18日から2月1日まで縦覧し、市民から意見を募集。3月の都市計画審議会を経て正式に改定する。
都市計画マスタープランは、長期的な視点に立った都市の将来像を市民と共有し、計画的なまちづくりを進めるにあたっての指針となるもの。策定から約10年が経過し、川崎市総合計画の策定や各分野別計画の策定・改定が進んだことなどから今回改定する。
改定案では、今までの「目指すべき都市像」の項目を「都市づくりの基本理念」として改変。従来、分野別の基本方針で記述していた「都市構造」は、「都市づくりの基本理念」の中に組み入れた。具体的な都市構造としては、▽広域調和・地域連携▽魅力にあふれ、個性ある都市拠点▽交通ネットワークの形成―などを目指すとした。
コンパクトで効率的なまちを目指して、交通利便性の高い駅周辺地区などで公共公益施設の集約や多様なニーズに対応した都市機能の誘導、路線バスなど公共交通による駅へのアクセス向上を進める。さらに地域交流の場の形成や多世代が交流できる住環境整備の推進を目指すとともに、人工減少や高齢化が進行する地区の住み替えや空き家の活用などにより多世代の居住を促進し、一定の人口密度を維持しながら効率性の低下を防ぐ。
新設した「生活行動圏別の沿線まちづくりの考え方」では、川崎市を▽北部エリア▽中部エリア▽川崎・小杉駅周辺エリア▽川崎駅・臨海部周辺エリア―に四つに分けて、各エリアの特性と沿線まちづくりの考え方を示した。
北部エリアは、小田急小田原線、多摩線沿線などの地域で麻生区・多摩区を含む範囲。豊かな自然環境と文化・芸術などの地域資源を活用し、多数の大学の立地を活用するなどとしている。
中部エリアは、東急東横線、田園都市線沿線などの地域で、中原区、高津区、宮前区を含む範囲。隣接する二子玉川やたまプラーザなどとの連携・調和を図り、東急沿線の地域ブランドを活用する。
川崎・小杉駅周辺エリアは、JR南武線沿線の地域で、幸区、中原区を含む範囲。連続立体交差化を契機にした身近な商業や生活支援関連サービス機能の集積や駅へのアクセス向上などを図る。
川崎駅・臨海部周辺エリアは、川崎駅を中心に広がる、JR南武線、京急大師線沿線と臨海部を有するおおむね川崎区を含む範囲。羽田空港に隣接する川崎市の玄関口にふさわしい広域拠点の形成、活力ある産業集積や環境と調和した産業の持続可能な発展を目指す。
提供:建通新聞社