国土交通省などがまとめた、入札契約適正化法〈入契法〉に基づく実施状況調査(2016年3月末時点)を踏まえ、三重県内の県および市町(14市15町)が実施する各制度の導入状況などをまとめた。予定価格の公表時期については、事前公表とする団体が県と9市7町、事後公表は3市6町で、前回調査(15年3月末時点)に比べ、多気町が全案件を事後公表に移行(16年度施行)したことで1町増加した。
各制度の調査結果を見ると、総合評価落札方式の15年度の導入状況は、14市12町が導入しており、未導入の自治体は、菰野町、朝日町、御浜町の3町。県を除いた市町の導入率は89・6%で、全国の市区町村の導入率63%を上回っている。15年度に総合評価落札方式を実施した件数は、県が296件(前回調査255件)。市町では、明和町が101件と突出しており、四日市市が17件、伊賀市が13件、鈴鹿市が8件、玉城町が5件、大台町が1件と、3市3町にとどまっており、11市9町が未実施となっている。
運用指針で、原則として事後公表を求めている予定価格については、全案件事後公表が3市6町となり、前回調査の3市5町に比べ1町増えた。前回調査では、多気町が原則事前公表で一部事後公表方式だったが、16年度から全件事後公表に移行した。一方、全案件事前公表としている市町は9市7町で、前回調査と同数だった。一部で事前・事後公表を実施している市町は、2市2町あった。県は原則、全案件を事前公表としており、15年度から試行的に一部で事後公表を試行し、16年度も試行している。予定価格自体を非公表としている市町はなかった。
最低制限価格制度では、29市町全てが導入しており、このうち、最低制限価格の事前公表を全案件で行っているのは、名張市の1市で、鈴鹿市、伊賀市は原則事前公表で、一部で事後公表を試行している。事後公表は10市13町、非公表は1市2町だった。
低入札価格調査制度では、7市3町が導入しており、このうち、調査基準価格の事前公表を行っているのは名張市で、鈴鹿市は原則事前公表で、一部案件で事後公表を試行している。事後公表を行っている団体は5市3町で、前回調査の4市3町から1市が増えた。対象は松阪市で、同市の場合、設計価格を事前公表し、入札日にくじ引きで予定価格を決定しており、その予定価格の85%を調査基準価格に設定していることから、予定価格と同時に決定する方式となっている。制度的な変更はないが、今回の調査では事後公表とした。
15年度の競争入札の平均落札率を見ると、三重県が87・5%(前回調査89・3%)で、愛知県、岐阜県より2〜6ポイント低い水準となっている。市町は熊野市が99・1%、大紀町が95・5%、度会町が94・5%など、90%台の市町が3市9町となっている。一方、菰野町が83・3%、桑名市が84・5%と1市1町が85%を下回った。
第三者機関の設置については、未設置が8市13町。電子入札システムでは、伊勢市、松阪市、桑名市、いなべ市の4市が導入済み。
同調査は、入契法に基づいて国交省・総務省・財務省が、全ての公共工事の発注者を対象に実施した。
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建通新聞社