金沢市が文化勲章受章者の建築家・故谷口吉郎氏の生家跡地(寺町5丁目)に整備する建築文化拠点施設で、外国の元首や首相など国賓らを接遇する迎賓館赤坂離宮(東京)の和風別館「游心亭(ゆうしんてい)」の和室が再現されることが明らかになった。再現される游心亭の広さは47畳を想定。犀川方面には水盤が設けられ、故郷の景色を眺望する。
游心亭は、東宮御所などを設計した谷口氏の設計で74年に建設。国賓らを迎え入れた時に宿泊等の接遇を行う迎賓館の和風別館として、96年には当時のビル・クリントン米大統領夫妻が訪れた。昨年2月に初めて一般公開され、4月からは通年公開されている。
市によると、建築文化拠点施設の建築設計の基本方針で、谷口氏の代表的な建築作品を復元し、実存する建築の一部を常設展示とする新しいタイプの博物館に位置づけることから、谷口氏が手掛けた游心亭の和室を再現するという。基本・実施設計は谷口氏の長男で世界的建築家・谷口吉生氏の谷口建築設計研究所が担当し、現在策定を進める実施設計の中で計画が現実化した。
建築文化拠点施設は、寺町台重伝建地区近くの敷地約2200平方メートルにRC造3階建て延べ約1360平方メートルで建設。47畳を想定する游心亭の和室は、食事を提供する迎賓施設としての活用のほか、一般公開も検討する。このほか、企画展示スペースを設け、谷口親子の作品を中心に市内の建築作品なども紹介する。
市は来年度の着工を予定しており、当初予算に建設費を計上する考え。工期には約2カ年を見ているため、債務負担行為を設定する方針。完成は18年度中もしくは19年度になる見込み。
なお、建築工事については、議会承認が必要な5億円前後になる見通しで、発注形態は大手と地元のJVとなる公算が大きくなっている。