三重県は、総合評価方式(土木一式工事)における工事成績の評価項目「企業の技術力等工事成績」評価について、現行の「過去3年間の平均」方式を改正し、「直近の過去3年度の工事成績を任意に選定した工事成績評点の合計から一定の計算式で算定した値」とする県独自の計算式(@方式)などを2017年度から適用することを公表した。国土交通省の工事実績がある場合は、県の新方式と、従来も採用していた国交省が公表する前年度の「工事成績評定平均点」のいずれかを企業側が選ぶものとし、6月1日以降に公告を行う案件から適用する。工事成績をより適正・公平に評価するとともに、工事成績がない場合でも総合点を元に評価点を加えることで、「若手雇用の拡大、新規参入の推進等」を図るものとした。
新たな工事成績の評価のうち@方式は、直近の過去3年度に三重県が通知する工事成績認定書の土木一式工事の評定点のうち、企業が自ら申告する任意の件数(n件。件数は10件まで)の合計に「75点」を加え、「n+1」の数値で割った値(小数点以下切り捨て)を「申告工事成績点」とする。同成績点から「75点」を引いた値に「5点」を加算した値を「評価点」とする。ただし、上・下限を設け、申告工事成績点が「90点以上」の場合は「20点」を上限とし、一方、「75点未満」の場合は「5点」を下限とした。
一例として、過去3年度(14〜16年度)に土木一式工事が5件あり、評点が93点、92点、90点、84点、83点と想定し、5件全てを申告した場合、合計点に「75点」を追加した「517点」を「n+1」の「6」で除した数値「86・1」の小数点以下を切り捨てした「86点」を申告工事成績点とし、同点から75点を引き、5点を加算した「16点」が評価点になる。同じ評点で五つのパターンを同計算式で算定比較すると、上位の93点、92点、90点の3件を申告した場合に、同じ算定式では「17点」となり、最も高い評価点が得られる。
現行方式では、一例として、3カ年で対象工事が3件あり、全て90点であった場合と、3カ年で対象工事が1件のみで90点であった場合、いずれも90点が申告工事成績点となり、評価はともに「20点」となる。しかし、@方式では、前者の場合「16点」、後者の場合「12点」と格差がつくことになる。
一方、国交省の工事成績の採用は、企業側が過去3年度に三重県での土木一式工事の対象がなく、国土交通省中部地方整備局または同近畿地方整備局で対象工事がある場合、または、県、国両方に実績がある場合で、@方式を比較して、国の成績点の方が有利と判断した場合に採用することを想定している。算定は同局が前年度に公表した最新の工事成績評定平均点を申告工事成績点とし、以下は@方式と同様に同点から75点を引き、5点を加算した値を評価点とする。
最後に、県、国ともに対象工事がない場合の措置として計算式(A方式)を創設した。総合点(最新の三重県建設工事等入札参加者資格者名簿に記載された総合点=経営事項審査の総合評点に県の主観点数を加味した点)を基準とし、総合点から840点を引いた値を130(970−840)で除して、「5」を乗じた値とする。例えば、総合点が935点の場合は、「3点」となる。これにも上・下限を設け、総合点が「970点以上」の場合は「5点」とし、一方、「840点未満」の場合は「0点」とした。
現行では、いずれも対象工事がなければ、「0点」としていたが、「新規参入の推進」の観点から企業の技術力を評価するために制度化した。
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建通新聞社