東京都が2016年度上半期(4〜9月)に発注した予定価格250万円超の工事2201件(競争入札案件)の契約状況がまとまった。平均落札率は前年度に比べ0・4ポイント減の90・7%、不調発生率は1・9ポイント減の7・9%となり、入札に参加しやすい環境の整備や不調対策に一定の効果が表れた格好となっている。
16年度上半期の契約状況のうち平均落札率は、建築工事が前年度比1・4ポイント減の91・0%、土木工事が同率の92・0%、設備が0・6ポイント減の88・7%で、建築と設備の落札率が低下した。
低入札価格調査制度の適用案件数は、建築工事が1件、土木工事が6件、設備工事が1件の計8件。15年度からの臨時措置として「WTO政府調達協定対象工事」を除く全工事に最低制限価格制度を適用していることから、対象案件は激減している。
不調発生率については、建築工事が4・8ポイント減の10・6%、土木工事が3・0ポイント減の10・6%となった一方、設備工事が0・7ポイント増の7・3%だった。設備工事での不調が微増したものの、建築が20%台、土木が10%台で高止まりしていた13〜14年度の状況に比べ、15〜16年度は大幅に改善されつつある。
都は入札参加者の減少や多発する不調に対応しながら、改正品確法に基づく発注者責任を果たすため、最低制限価格制度の積極的な活用や市場動向を踏まえた予定価格の設定、発注標準・JV基準の見直し、債務負担行為の活用による発注の平準化といった入札・契約制度の改善を進めてきた。こうした取り組みの成果が、入札参加者の増加と競争性の確保による落札率の低下、不調発生の減少などにつながったと見られている。
ただ、小池百合子知事の設置した都政改革本部の内部統制プロジェクトチームは、特定の工事だけを検証した上で「1者入札を回避するための制度・運用の整備」「最低制限価格制度を主とする運用の抜本的見直し」などを都に求める提言をまとめている。一定の成果が現れ始めた施策を今後どのように改めるかに関係者の関心が集まっている。
提供:建通新聞社