日本工業経済新聞社(山梨)
2017/01/05
【山梨】17年県内事業展望
2017年(平成29年)の本県の建設事業は、リニア中央新幹線や中部横断自動車道の建設が進み、「やまなし」の発展へ社会資本整備を着実に進める年になる。長年低下していた県の公共事業費も16年度は11月に111億円の事業費を追加し、15年度より増加。県では17年も総合計画や社会資本整備重点計画などに基づき、県民の安全・安心を持る社会資本整備を推進する。
17年の国や県の注目事業、業界の動向は次のとおり。
【リニア中央新幹線の建設】
JR東海による南アルプストンネル山梨工区工事(早川町)は、16年10月から掘削工事に着手。施工は大成建設・佐藤工業・銭高組JV。第四南巨摩トンネル新設工事西工区(早川町新倉)でも今月から準備工が開始される。施工は西松建設・青木あすなろ建設・岩田地先建設JV。
地上区間を走行する甲府盆地でも用地取得へ向けた測量や調査などが進み、長大橋梁の設計も開始された。
【中部横断自動車道】
早期の全線開通が望まれる中部横断自動車道は、六郷IC〜増穂IC間が本年3月に開通予定だ。開通時期が延びた増穂以南も工事が継続される。
【リニア環境未来都市】
県では、リニア駅が建設される甲府市大津町周辺を「リニア環境未来都市」として整備する方針をまとめている。昨年には整備方針の中間素案を公表。リニア中央新幹線の開業効果を発揮させるため、リニア駅の周辺24・5hに駐車場や観光交流・産業機能を整備し、駅の近郊には定住やエネルギーなどの機能を配置する。方針は本年度内にまとめる。
【総合球技場の建設】
サッカーやラグビーなどができ、交流人口拡大や定住移住、地域活性化に寄与し、防災拠点にもなり得る施設となることを想定。建設候補地は2カ所(リニア中央新幹線駅前。小瀬スポーツ公園周辺)。収容2万人規模を想定している。県では昨年末に検討委員会から提出された報告書を基に、本年度内を目途に整備基本構想を策定する。
【子どもの心のケアに係る総合拠点(仮称)整備事業】
甲府市住吉2丁目の職員宿舎跡地などの1万4300u程度に計画。施設は、こころの発達総合支援センター、児童心理治療施設、中央児童相談所を一体的に整備する。規模は合計約6500u程度を想定。そのほか運動場(約800u)などを整備する。
16年末に設計業務の公募型プロポーザル手続きを開始した。想定工事費は27億円以内(消費税込み)。18年度に着工し、19年度秋の完成を想定している。
【リニア中央新幹線建設に伴う経済効果推進協議会】
リニア建設段階の経済効果が県内にもたらされるよう、県内の自治体や建設関連団体が昨年末に発足させた。JR東海に対して、調査・設計や工事での地元企業参入や県産材の活用などを要望していく。