日本工業経済新聞社(山梨)
2016/12/28
【山梨】新たな射撃場を検討
県は、新たな射撃場のあり方検討委員会を26日に開催し、施設整備の必要性などを協議した。委員からは、「県営の訓練施設が必要」「ライフル射撃の練習場として必要」「(2011年に検討した)建設事業費は15億円程度は妥当か」などの意見が出た。県では、今後も検討を重ね、16年度末を目途に方針を定める。
県営の射撃場は韮崎市清哲町青木地内の15・7hで運営していたが、1998年(平成10年)の銃弾事故を契機に同市穂坂町へ移転を計画。実施設計を進めたが、事業費が約30億円と大きくなり移転計画を再検討。甲州市の市有地を有力候補地に約15億円で計画したが、騒音や鉛対策などで事業費が増えため、あらためて15億円程度で33カ所の候補地を検討したが適地がなく、県では11年9月に県立射撃場の整備を凍結。韮崎射撃場は09年7月に閉鎖した。
さらに、概ね5年後に整備凍結などを再検証することになっていたため、本年11月に関係者による「新たな射撃場検討委員会」を発足させた。
第2回委員会では、県が整備凍結の経緯や射撃場の必要性をあらためて提示。施設の必要性については、スポーツとクレー射撃の技術向上に必要で、鳥獣害対策として銃による捕獲数を増やしていくためにも「射撃場は必要であるとの認識は変わりはない」と説明した。
また、県内には民間の射撃場が4カ所(身延町、大月市、都留市、忍野村)あり、2カ所が日本クレー協会の公認と解説した。
一方、施設規模などについて、5年前の整備凍結時には、クレー射撃場4面(トラップ、スキート各2面)、ライフル射撃場(大口径100m)を検討し、事業費を抑制するためライフル射撃場とクレー射撃場の一体整備とし、事業費は15億円程度だったことを説明。
凍結後では、県教育委員会が15年2月に策定した「県有スポーツ施設整備の基本方針」で「次期国体について県内に大会施設基準を満たす射撃場が無く、整備した場合は競技会場として使用が可能」と示したことに触れ、新射撃場について16年度末を目途に方針を定めると説明した。
また、11年度に検討した33カ所の候補地について現状を報告。そのうち2カ所は他の用途に活用されているか活用予定で、それ以外の31カ所は状況の変化は無く、候補地のうち概算工事費が15億円程度で建設可能な敵地は無かったことを報告した。一方で候補地は、周辺の防災工事や道路工事などによって建設が可能になることも考えられることから動向を注視していくとした。
意見交換では、競技関係の委員から「競技力向上のための施設が必要」との意見が出た。そのほか、「建設事業費の15億円は妥当なのか」「射撃場と練習場は分けて考えた方が良いのでは」「鉛対策も重要」などの声が挙がった。
県では、来年1月下旬に開催予定の次回委員会で、とりまとめ骨子案を協議する予定。