富士火災海上保険(東京)は金沢市広坂1丁目の百万石通り沿いで同社金沢支店が入居している「富士火災金沢ビル」の売却を計画している。北陸新幹線の開業以来、ホテルやマンションの開発計画が目白押しになっている金沢だが、そうした新幹線の開業バブルが都心部の超一等地である兼六園前にも飛び火した格好で、今後の動向が注目される。
現在の富士火災金沢ビルはSRC造6階建て延べ約1500平方メートルのテナントビルで、1981(昭和56)年6月に竣工した。
今回、ビルおよび敷地の売却にあたり、今月初旬にデベロッパーなどを対象にした内覧会を開催し、現況などを説明したものとみられる。今後、順調に行けば年明けには売却の入札を行い、来春以降に引き渡しとなるもようである。
同ビルは築後約35年を経過していることから新たな活用に向けて大規模改修する案や、解体し、新しいビルを建設する案などが想定されている。
金沢市が今年3月にまとめた「市中心市街地都市機能向上計画」の中で、今回の富士火災金沢ビルを含むエリアは『広坂ゾーン』として位置づけられ、沿道の老朽ビルの再整備促進と都市機能の誘致を図るとされ、集合住宅などの将来的な開発需要を見据え、周辺環境との調和を図るための高さ制限の見直しを行うことなどが盛り込まれている。
北陸新幹線の開業後、金沢駅周辺では金沢港口でオリックスによる外資系ホテル「ハイアットセントリック」の計画や兼六園口の老舗である金沢都ホテルの再開発計画をはじめ、国道157号沿いでは旧北國銀行本店および第2本館跡、旧金沢東京海上ビル跡、旧三井住友信託銀行金沢支店跡などで新たなホテルの建設計画が進むほか、同市堀川新町や都心部でマンション構想が進められるなど、金沢市内は開発ムード一色になってきている。