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建設新聞社
2016/12/20

【東北】復興係数の継続を表明/新たに東北復興働き方改革PJ/復興加速化会議(国交省)

 国土交通省は17日、復興加速化会議を仙台市内で開き、復旧・復興事業の円滑な施工対策の在り方などについて意見を交わした。この中で国交省の石井啓一大臣は、被災3県に適用している復興係数を2017年度も継続することを表明。建設業の担い手不足に対応するため、ICT活用工事の推進・普及、業務改善、ワーク・ライフ・バランスの改善などを総合的に進める「東北復興働き方改革プロジェクト」に取り組む考えも打ち出した。
 復興加速化会議は、復旧・復興事業の施工確保対策を検討する場として2013年3月に初会合を開催。それ以降、国交相が出席のもと会合を開き、復興係数による間接工事費の補正、発注見通しの統合化、公共工事設計労務単価などの適用前倒し、災害公営住宅工事確実実施プログラムの展開といった新たな対策を次々に打ち出してきた。
 7回目を迎えた今回は、国交省から石井大臣のほか、五道仁実大臣官房技術審議官、木原亜紀生大臣官房審議官(土地・建設産業担当)、川元茂大臣官房官庁営繕部長、川瀧弘之東北地方整備局長らが出席。被災自治体からは達増拓也岩手県知事、村井嘉浩宮城県知事、内堀雅雄福島県知事、奥山恵美子仙台市長らが顔をそろえた。
 石井大臣は冒頭、「インフラの復旧・復興は順調に進んでいるが、依然として多くの人が避難生活を送っている。一日も早く生活、なりわいを再建させ、実感できる復興につなげていきたい。本年度から復興・創生期間となり、多くの現場で復興のつち音が聞こえている。この会議で最新の現場の状況を聞いて、地域の実情を踏まえた必要な対策を講じていきたい」と力を込めた。
 被災自治体からは「復旧・復興事業はピーク迎え、台風10号に絡む災害復旧の発注も本格化してくる。こうした中、被災地の早期復旧・復興に向けて復興係数などの特例措置を継続するとともに、社会資本整備総合交付金をはじめ、復興の進度に応じた確実な予算措置をお願いしたい」(達増知事)、「復興・創生期間という新たなステージでも、特例措置を継続してほしい。また復興事業は当初想定しなかった事態による進捗の遅れがあるため、震災復興特別会計で確実に予算措置することが重要」(村井知事)、「県内のインフラ復旧・復興はまさにピークであり、資材高騰や現場条件へのきめ細かな対応が不可欠。復興係数など施工確保の各種対策を継続するとともに、全ての基盤となるインフラの整備、長寿命化への対応など通常事業への予算確保が求められる」(内堀知事)、「嵩上げ道路や津波避難タワー、避難道路の整備などを着実に進めていくためには、復興係数などの施工確保対策が労働者確保、資材調達の面から大変有効であり、継続してほしい。安定的な予算確保も必要だ」(奥山市長)などと、施工確保対策の継続や必要な予算の確保を求める声が相次いだ。
 これを受けて石井大臣は「皆さんから復興係数の継続が復興に重要という声が寄せられた。私も復興係数は継続させたいと思っている」と明言。さらに「昨年の会議でi―Constructionを東北地方で先進的に進めていきたいと発言した。本年度は直轄でICT土工を実施し、生産性向上に取り組んできた。東北の実績は土工量ベースで全国の2割に達し、先進的な地域となっている」と強調し、今後も積極的に推進していく姿勢を打ち出した。労務単価改定のタイミングや前払金の被災地特例の取り扱いは、実態調査などの結果を踏まえて今後対応する方針だ。
 また、東北では人口減少が顕著で担い手不足が懸念されるため、「東北復興働き方改革プロジェクト」と銘打ち、ICT活用工事の推進・普及、業務改善、ワーク・ライフ・バランスの改善などに取り組んでいく考えも表明した。
 このうちICT活用工事の推進・普及をめぐっては、本年度に38件だったICT土工の実績を17年度に倍増させる目標を掲げるとともに、自治体への普及を推進する。業務改善では、入札契約手続きを簡略化する観点から、簡易確認方式(入札申し込み資料を大幅に削減することで、受発注者の負担を削減する仕組み)、簡易積算方式(側溝などの積算を簡単にする仕組み)を合わせて50工事で実施。施工時期の平準化、工事書類の簡素化(3割削減)も引き続き進めていく。ワーク・ライフ・バランスの改善に当たっては、段階選抜方式の一次審査でWLB認定(各種法律による認定)を評価項目に追加するとともに、女性技術者・若手技術者配置促進工事を50工事で実施する構えだ。
 このほか、観光業や農林水産業といった地域に根差したなりわいの再生に向けインフラを関係機関と連携しながら整備することや、復興道路で採用した事業促進PPPを河川事業・道路事業・まちづくりなど復興以外に展開する検討も視野に入れている。

提供:建設新聞社