建設新聞社
2016/12/13
【東北・福島】環境省が中間貯蔵事業の見通し示す 焼却灰貯蔵施設、双葉減容化など着工へ
環境省は、中間貯蔵施設整備に係る2017年度以降の事業方針および見通しを明らかにした。双葉、大熊両町役場で9日に開催された全員協議会の中で伊藤忠彦環境副大臣らが説明したもので、伊藤副大臣はポイントとして@17年度の除染土壌等輸送量は約50万立方bA17年秋ごろの土壌貯蔵開始B双葉町減容化施設を新設C焼却灰等貯蔵施設の新設―などを挙げた。
除染土壌等の発生量は1600万立方b〜2800万立方bと推計されている。このうち、両町に設置された保管場への本年度の除去土壌搬入量は、12月6日現在で9万4896立方b(車両数1万5334台)に達しており、年度末には、15年度実施のパイロット輸送分約5万立方bと合わせ約20万立方bの搬入が完了する見込み。
16年度輸送量の3倍強の約50万立方bに増大する17年度は、舗装厚の改良などピーク時の輸送に対応した道路交通対策を施した上で、学校等に保管されている土壌等を優先的に搬入する。また、当面の目標として、東京五輪が開催される20年度までに500万立方b〜1250万立方bを搬入する計画だ。
搬入量の増大に伴う施設整備も本格化している。ことし9月には中間貯蔵施設内では初の減容化施設が大熊町で着工し17年冬ごろの稼働開始を目指している。11月には本体初弾工事となる受入・分別施設と土壌貯蔵施設(貯蔵容量約6万立方b)が双葉・大熊両町で着工し、17年秋ごろをメドに貯蔵を開始する予定となっている。
17年度以降の計画は、双葉町側にも減容化施設を新設して19年度稼働開始を目指すほか、焼却灰の輸送開始に合わせ焼却灰保管場を確保するとともに、19年度貯蔵開始を目標とした廃棄物貯蔵施設の整備に着手する。さらに、18年度に想定している輸送量90万立方b〜180万立方bに対応した受入・分別施設と土壌貯蔵施設の増設を行う。
ただし、これら施設は、まとまりのある用地が確保できた段階で順次着工していくため、用地取得が急務となる。協議会で発表した中間貯蔵用地の取得状況(11月30日時点)によると、全体面積約1600fに占める民有地は約1270fで、このうち契約済みの用地は約204f(登記記録人数517人)にとどまっている。
民有地約1270fの登記記録上での土地・建物所有者は2360人で、これまで、調査承諾を得て物件調査を実施した面積は1030f(地権者1350人)となっている。累計で最大約1250万立方bの搬入を目指している20年度までには、640f〜1150fの用地を確保したい考えで、補償金額の算定や地権者への提示・説明を継続的に実施するとともに、死亡または、氏名のみの登記で連絡先を把握できていない地権者約650人への対応策も検討していく。
提供:建設新聞社