日本工業経済新聞社(山梨)
2016/12/12
【山梨】中部横断富沢〜六郷事業費600億円増額へ
国土交通省関東地方整備局は、中部横断自動車道の富沢〜六郷間)の事業費が2004億円から約600億円増額となる見通しの理由を、事業評価監視委員会に説明した。600億円の内訳は、トンネル支保構造や補助工法の変更で約350億円、建設発生土の処理で約190億円、工事用道路の構造見直しで約60億円。
トンネル工事の地盤は、掘削で急激に砕け膨張する特殊な泥岩が広く分布し、掘削面の崩落や断面変形が生じるなど、当初想定が困難な事象が発生。対策として@ロックボルトを延ばして間隔を狭くするA吹き付けコンクリートを厚くするB二重支保工の設置―などを追加している。
さらに、掘削中の突発的な湧水により、止水対策や排水処理の追加が必要となった。
建設発生土については、自然由来の重金属類(セレンなど)を含む土砂(第2種要対策土)が発生し、「封じ込め盛土」が必要になった。第2種要対策土の発生量も見直しが生じた。
また、当初の「封じ込め盛土」の施工箇所で観測井戸と周辺河川へセレンの溶出が発生し、安全性を強化した盛土構造の見直しも行い、工事費が増額。第2種要対策土の処分先についても、搬入場の追加が必要になった。
第2種要対策土は93万立方mの処理が必要になっている。処分先は@粟倉地区18万立方mA青柳地区5万立方mB下山地区35万立方mC中間処理5万立方mD道路盛土30万立方m。
工事用道路については、当初は土工で計画していたが、地形に基づく詳細設計の結果、想定以上の山間部の地形が急峻で、大規模な切土・盛土などの改良が必要になった。さらに、地表面の改変が少ない工法(リーブラ工法)を採用し仮橋とするなど、工事費の増額が必要になった。