熊本県内の労働災害による死亡者が10月と11月の2カ月間で7人(11月24日現在)と多発している。これを重く受けとめ熊本労働局は2日、熊本合同庁舎で緊急会議を開き、熊本県建設業協会など21団体に労働災害防止対策の強化を緊急要請した。今年の死亡者数は昨年と同じ14人、うち建設業は2倍の8人が亡くなっている。
労働災害防止対策の徹底等について、業界団体に文書で通達することはあるが、労働局長が直接、団体等の長に要請するのは異例。
労働局によると、建設業の今年の死亡災害発生状況は、墜落・転落が5人と最も多く、転倒、交通事故、はさまれ・巻き込まれが各1人。全産業の過去5年の10・11月死亡者数をみると、平成23年1人、24年5人、25年2人、26年3人、27年2人で推移しており、今年の7人は例年と比べ突出、うち建設業が5人を占めている。
熊本地震の災害復旧工事などによる労災は▽解体用の車両系建設機械で掴んだ木材が弾け飛んで被災者に当たった▽外壁改修工事現場から会社に帰る途中、高速道路で交通事故▽民家の屋根瓦の修復工事中、はしごとともに地上へ墜落―で3人が死亡し、休業4日以上が116件、1カ月以上(見込み)が75件となっている。今後、復旧工事や解体工事が本格化し更なる労災事故の増加が懸念されている。
緊急会議で熊本労働局のコ田剛局長は「適切な対策をとっていれば防げたと思われるものが殆どだ。各団体で御指導いただきたい」と要請。解体工事で下請け工事代金が適切に支払われていないという一部報道については「基準法上の賃金不払いの問題にも繋がりかねない」として、各団体で目配りするよう求めた。
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