建通新聞社(神奈川)
2016/12/02
【神奈川】横浜市 「宿泊施設」容積率緩和の運用開始
横浜市は宿泊施設の整備に関わる容積率緩和の方針を定めた。都心臨海部(神奈川区・西区・中区・南区)と新横浜駅北部(港北区)の2地域で▽高度利用型地区計画▽再開発等促進区▽高度利用地区▽特定街区▽都市再生特別地区▽市の市街地環境設計制度―の6手法に基づく建築計画に対し、一定条件の下で容積率を緩和する。まず高度利用型地区計画、再開発等促進区、都市再生特別地区の3手法で11月30日に運用をスタート。残る3手法についても審査基準などを改正して早期の運用開始を目指す。
訪日外国人の急増を背景とした宿泊施設の不足に対応するため、国が創設した「宿泊施設の整備に着目した容積率緩和制度」をベースに策定したもの。ラグビーワールドカップ(ラグビーW杯、2019年)や東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪、2020年)の開発需要を見据え、良質な宿泊施設の立地を誘導するのが目的だ。
対象の2地域は総面積1000f弱。ホテル事業のニーズが高く、稼働率も8割を超えている他、もともと指定容積率が高いため、緩和による周辺への影響が小さいことから選んだ。観光・MICEによる市内経済の活性化を後押しする狙いもある。
このうち都心臨海部は「再生マスタープラン」の対象エリアとほぼ同じ。横浜・桜木町・関内の3駅があり、宿泊機能の整備や誘導をにらんだ再開発計画などが進んでいる。新横浜駅北口は昭和30〜50年代に区画整理を実施した場所で、近傍にラグビーW杯の決勝戦会場となる日産スタジアムが立地している。
6手法のうち都市再生特別地区と市の市街地環境設計制度の2手法は独自に盛り込んだ。容積率緩和の上限は国の基準を準用し、建築計画に占める宿泊施設の割合に応じて、指定容積率の「1・5倍以下」かつ「プラス300%」とする。ただ、市の市街地環境設計制度は小規模な建築計画への適用が念頭にあるため「プラス100%」に抑える。
適用条件は▽客室数の7割以上が客室面積20平方b以上▽外国人宿泊者の良質な滞在環境の提供に配慮▽ラブホテルを除外▽敷地の接道が幅員12b以上、観光バスの発着が想定される施設は道路交通への影響に配慮―となっている。
ラグビーW杯や東京五輪の後の運用については、開発の動向などを踏まえて地域の範囲や継続の可否を検討していく。
提供:建通新聞社