市原市は28日、旧市原ショッピングスクエアビルの今後のあり方に関する「サウンディング型市場調査」結果の概要を公表した。8月から今月にかけて民間事業者5者と対話を実施。機能・用途については、集合住宅を基本に商業施設や複合施設を併設する提案「集合住宅+α」が最も多く、この用途による事業の実現性が高いことが分かったとしている。今後、この内容を踏まえて具体的な公募条件を整理し、来年2月に公募型プロポーザル募集要項を公表、同3月末に優先交渉権者を選定する予定。
サウンディング型市場調査の対象は、五井中央西2丁目24番地8他の旧イトーヨーカドー棟及び旧アイモール棟などの建物と、その土地1万265・34u(実測)。市が保有する土地に、イトーヨーカドー市原店をキーテナントとするショッピングセンターとして1976年6月にオープンしたが、イトーヨーカドー市原店の閉店に伴い、市は2012年3月に施設の無償引き渡しを受けた。
13年度に利活用事業の事業者募集を行い、東急不動産を優先交渉権者に選定したものの、同社は翌14年度に、事業の採算性を理由に提案を取り下げた。同社の提案では、既存のビルを解体撤去し、企業向け単身者寮を主体に、商業機能や福祉機能を取り入れたビルを建設するとしていた。
こうした中で市は、より実現性の高い有効活用案や公募条件を検討するためにサウンディング型市場調査を実施することとし、8月から今月にかけて民間事業者5者との対話を実施した。
対話の視点は、@市街地活性化の観点を重視するとともに、人口減少・少子高齢化への対応など、地方創生の取り組みも踏まえた、市が抱える諸課題解決に向けた幅広い視点からの提案A市有資産の質・量・コストの最適化を実現するため、市の歳出を最小限に抑えるとともに、当該施設単独の提案に限定せず、周辺の公共施設などの面的な視点を含めた提案Bその他、特徴のある提案。
その結果、機能・用途に関しては、5者のうち3者が「集合住宅+α(ドラッグストア、スーパーマーケット、複合施設)」を提案。その際、提案を実現するためには既存建物の全面解体が必要になるとして、土地・建物を購入した上で、建物については民間事業者が全面解体するスキームが示された。
機能・用途に関しては、ほかに「複合型飲食・アミューズメント・健康増進施設、一般向けを含む時間貸し立体駐車場」「野菜生産工場、産地直売場、農業学校」を各1者ずつが提案。
「複合型飲食・アミューズメント・健康増進施設、一般向けを含む時間貸し立体駐車場」については、土地は定期借地、建物は購入もしくは賃借とし、イトーヨーカドー棟は市が解体、アイモール棟は民間事業者が改修。
また、「野菜生産工場、産地直売場、農業学校」については、土地・建物とも賃借とし、建物は解体せずに民間事業者が改修して利用するという内容。
既存建物等の概要は、旧イトーヨーカドー棟及び旧アイモール棟(76年築)がSRC造地下1階地上6階建て、延べ2万5863・64u。旧マクドナルド市原店(80年築、87年増築)がS造2階建て、延べ181・76u。浄化槽機械室(76年築)がRC造地下1階地上平屋建て、延べ73・62u。
JR五井駅から北へ約500mに位置し、都市計画用途地域は商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)で、準防火地域、駐車場整備地区に指定されている。