北海道建設新聞社
2016/11/22
【北海道】建築工事の受注から納品まで情報を一括管理−砂子組が開発
砂子組(本社・奈井江)は、建築工事の受注から検査、納品に至る情報を一括管理する建設情報マネジメントシステムを開発し、運用を始めた。全社的な情報活用を可能とし、検査情報の入力や整理にタブレット端末を使うなど業務効率化を実現した。実務に合わせた建設業会社製のシステムとして注目されそうだ。
開発を担当したICT施工推進室の真坂紀至室長は「営業情報、検査情報など部門が業務ごとに管理していた情報を、受注から引き渡しまで、建設会社の業務に合わせ無駄や手戻りをなくし、一貫して活用できるよう集約した」と説明する。
工事部門が営業の受注プロセスを知りたい場合や、営業部門が維持管理提案で詳細な検査情報を必要とする場面は多いが、分散していた情報の共有には手間が必要だった。
新システムは顧客や物件ごとに情報がサーバーに蓄積され「本社や支店、現場など場所、部門間の垣根なしに、必要な情報を引き継ぎなしに全社で活用できる」と言う。
書類の簡素化や業務効率化もこのシステムの大きな特長だ。物件情報には基礎や配筋などの躯体、下地、断熱、完成など建築の14工程で必要な工事検査の詳細情報が格納されている。
ただ検査は社内検討で業務の煩雑さが指摘されていたため、タブレット端末を使った入力、情報整理支援の仕組みを構築した。
一連の情報共有で、各種の図面や検査項目がタブレットに登録されるため準備が簡略化した。検査業務は、可能な限り選択式で入力でき、端末1台で写真も記録できる。
検査後は情報が自動で整理されるため、メールで関係先に送るだけ。従来のように紙からの再入力、情報仕分けやコピー作業が無くなり大幅な時間短縮が可能になった。
システムは、札幌市内の分譲マンション・アルビオガーデン宮の沢新築現場で、8月から本格運用を始めた。
検査の準備や整理は若手が担う場合が多いが、同工事でシステムを利用した建築部入社1年目の駒木晃大さんは「5時間ほどの検査情報整理が30分に短縮した。現場を閉めた後の作業が大きく減り、現場に関わる時間を増やすことができた」と話す。
駒木さんら若手は活用方法のアイデア提案にも積極的だ。真坂室長は「ICTを活用した効率化は若手の意欲向上にも役立つ。若手の改善提案が一層の効率化につながる」と考えている。
これらに対応しながらシステムは機能拡充を図る考え。現在は建築メインのシステムだが、2017年内にICT活用で情報化が進む土木工事や、電子黒板を使った工事写真記録、安全関連書類管理などに対応。「ニーズがあれば製品化を考えていく」と話している。