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日本工業経済新聞社(山梨)
2016/11/18

【山梨】米倉山に蓄電システム施設集積

 甲府市下向山町の米倉山地区に、県と民間による蓄電システム実証試験施設がさらに集積する。現在ある次世代フライホイル、改良型ニッケル水素実証試験施設に加え、水素技術センターやP2G(パワー・ツー・ガス)実証研究施設の建設が予定されている。県では、蓄電システム試験施設の集積や機器の実用化を通じ、県内の関連産業の育成や集積を目指す。
 改良型ニッケル水素蓄電システムについては、甲斐市に製造拠点があるエクセルギー・パワー・システムズ(東京都文京区)と県が、改良型の同システムと太陽光発電を組み合わせた実証実験を今月25日から開始する。
 改良型ニッケル水素蓄電システムは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を得て、ハイブリッドカーや充電式乾電池として使用されているニッケル水素電池を改良。放熱特性を大幅に向上させ、急速充放電、従来の10倍の高耐久性、300KW級の大型化を実現するもの。
 実証実験を経て県内の工場で製品を製造し、大型の電気設備を有する工場や病院などに導入し、停電時のバックアップ電源として利用に加え、最大電力を抑えることが期待される。さらに、太陽光発電などの導入が進む地点の変電所などにも導入し、電力系統の安定化にも寄与させる。
 また、製造拠点が甲斐市内にあることから、後藤斎知事は「機器の実用化を通じて県内関連産業の育成や集積につながっていくことを期待」とコメントしている。
 水素技術センターは、水素供給利用技術協会(HySUT)が、オフサイト型の商用ステーションの標準的な仕様を備えた施設として整備する。整備施設は機械室・計器室、冷凍機、圧縮機、蓄圧機、ディスペンサー、カードル。設計圧力は82MPa(予定)。2017年11月までに設計・建設を行い、12月から技術実証や人材育成などを行う予定。
 さらに、県、東レ、東京電力ホールディングス、東光高岳の4者によるP2G(パワー・ツー・ガス)システムの実証試験施設の建設も予定されている。太陽光発電で年間45万N立方m(計画値)の水素を製造、貯蔵、利用するP2Gシステムの確立を目指す。
 一方、米倉山では、県企業局とパナソニックが共同で純水素型燃料電池の実証試験を4年以上行っているが、同社が新たに開発した純水素燃料電池に入れ替えた。電池は1台から3台に増設し、3台を連携制御することで効率的な運転を行う。新しい燃料電池は、1台当たり幅50p、高さ89p、奥行き30p、重量50s。出力は2・1KW(700W×3台)。
 P2Gシステムにより製造した水素を利用するには燃料電池の普及が求められるため、「実証試験で培われた成果を生かし、水素エネルギー社会の実現に向けた取り組みにおいて活用を目指していきたい」(後藤知事)としている。