九州地方整備局と熊本県の共催による「熊本地震等復旧・復興工事情報連絡会議」の初会合が10日、ホテル日航で開かれた。県建設業協会は、人手不足や資機材高騰で不調・不落が発生する恐れがあるとして、発注時期の調整を要望。九地整は現実的に難しいとの見解を示して理解を求めた。発注計画では10月以降28年度中に、県が2324件・921億円、熊本市が684件・298億円を工事発注する見通しを公表した。
連絡会議は、地震等で被災した公共土木施設等の復旧・復興工事を円滑に進めるため、施工体制の確保など様々な課題を情報共有し、対応策を検討するもの。国交省、農水省、県、市町村、建設業関係団体など72機関・団体から約200人が出席した。
今回の議題は▽今後の発注計画▽建設産業の現状・課題▽資機材と労働力確保の現状・課題▽発注情報の一元化▽暴力団排除対策▽適正な発注に向けた取組▽関係機関の課題―の7項目。
発注計画では、九地整が事務所別、工事規模別、地域別に件数を公表した。九州農政局は直轄代行で実施する7農地海岸の災害復旧工事16億8000万円に平成29年1月から4月にかけて着工すると説明。県は工事の発注見通しを振興局別、工種別、階層別にまとめた。熊本市は28年度中に684件・298億円、29年度以降に138件・115億円予定している。
建設産業の課題について熊建協は、経済対策分も含め過去に類をみない膨大な工事量が発注され、人手不足や資機材高騰で消化出来ない恐れがあるとして▽発注時期の調整と平準化▽事業年度の延長▽遠隔地からの資材調達・労働者確保時の市町村工事での費用算入▽復興係数の採用▽発注者による入札時の施工体制確保確認―などを要望。協会は会員の余裕技術者情報を提供予定であることを明らかにした。
行政間の発注時期調整について九地整は「現実的に無理だ。発注見通しを一元化し情報共有する」と答え、市況が安定化するまで発注を遅らせるなどの判断を各発注者に委ねることを示唆した。
資機材と労働力確保の現状・課題では、九地整が「被災地域での予定価格の適切な設定等(8月31日付)」「被災地域における事故繰越事務手続きについて(10月14日付)」の通達事項を紹介し、市町村に対し適切な運用を求めた。
適正な発注に向けた取組については、熊本市が10月31日から現場代理人の常駐義務緩和を県発注工事との兼任でも可としていることを公表した。
九地整の加治賢祐技術調整管理官は「時間的、場所的に工事が集中し、資材と労働力の不足が懸念されるが、それが原因で復旧・復興が遅れてはいけない。遅滞なく円滑に執行できるよう被災地だけでなくオール熊本で対応してほしい」と呼びかけた。
会議後の会見で熊建協の橋口光コ会長は「問題が発生するとしたらこれから。人員には限りがあり、それぞれが勝手に発注したら大変なことになる。例えば工期に余裕を持たせてまとめて発注するとか、業者が消化できる工夫が必要だ」と話した。
2回目の連絡会議は来年3月までに開く。市町村の発注計画も含めて情報を確認・共有し、必要に応じて対応策を検討する。
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