東京都の小池百合子知事は、11月11日の定例会見で「2020年に向けた実行プラン」のコンセプトと主要政策の方向性を発表した。「セーフシティ・ダイバーシティ・スマートシティ」の三つを実現し、新しい東京を創り上げることを目標に設定。「セーフシティ」の実現に向けた取り組みでは、地震に強いまちづくりや豪雨・土砂災害対策、都市インフラの長寿命化・更新などを主要政策として掲げ、特定緊急輸送道路沿道建築物や住宅の耐震化、木造住宅密集地域の不燃化、無電柱化、橋・道路の適切な補修・補強、上下水道の計画的更新、多摩・島しょ地域のまちづくりを進める。都民意見の反映手続きを経て、12月末にプランをまとめる。
実行プランは17〜20年度の4カ年を期間とし、「三つのシティ」を実現することで、(1)誰もが安心して暮らし、希望と活力を持てる東京(2)成長を生み続けるサスティナブルな東京(3)日本の成長エンジンとして世界の中で輝く東京―を創り上げる。
「セーフシティ」については、地震に強いまちづくりとして、建築物の耐震化や木密地域の不燃化、都道や区市町村道の無電柱化、橋や上下水道施設、河川・港湾施設の耐震化を進める。集中豪雨でも水害が起きないような河川・下水道の整備、官民が連携した大規模地下街の浸水対策、崖崩れの防止といった豪雨・土砂災害対策にも重点を置く。
老朽化した都市インフラの長寿命化策として、橋や道路などの適切な補修・補強、上下水道施設や首都高速道路などの計画的な更新に取り組む。多摩・島しょ地域のまちづくりでは、災害時の代替ルートとなる道路整備や土砂災害対策、島しょでの地震・津波・火山災害対策、多摩ニュータウンなど大規模住宅団地の再生を主要政策に掲げる。
「ダイバーシティ」では、高齢者が安心して暮らせる社会に向けて、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、サービス付き高齢者向け住宅など高齢者の施設や住まいの整備を促進する。さらに道路のバリアフリー化や駅のホームドア整備といった全ての人に優しいユニバーサルデザインのまちづくりを展開する。
世界に開かれた環境先進都市、国際金融・経済都市を目指す「スマートシティ」では、省エネ機器の普及や再生可能エネルギーの導入拡大、公園や街路樹の整備、都市農地や多摩の森林の保全・再生・活用などを実施する。人や物の流れがスムーズになるよう、3環状道路や骨格幹線道路などの広域的な道路ネットワーク、公共交通ネットワークの整備を進める他、国内外の物流拠点として東京港の機能を強化。民間事業者による都市再生プロジェクトや都有地を活用した拠点づくり、周辺のまちづくりと一体となった都心の拠点駅などの整備も実施する。
提供:
建通新聞社