県県土整備部(野田勝部長)と千葉県建設産業団体連合会(畔蒜毅会長)との意見交換会が14日、千葉市内のホテルポートプラザちばで開かれ、建産連から県に対し、@公共事業予算の安定的・持続的な確保((一社)千葉県建設業協会)A改正品確法の順守徹底((一社)千葉県空調衛生工事業協会)B担い手の確保と人材の育成((一社)千葉県電業協会)C現場対応等((一社)千葉県造園緑化協会)D社会保険未加入対策((一社)千葉県道路舗装協会)E内水氾濫対策(千葉県コンクリート製品協同組合)F防水工事の予算確保と施工時期の平準化(千葉県建設防水工事業協同組合)――の7項目を提案・要望した。
◆建産連が7項目提案・要望
この日は、県土整備部から野田部長をはじめ、吉田行伸・災害・建設業担当部長や各課長ら20人、建産連からは畔蒜会長をはじめとする正副会長と理事のほか、構成団体の長や専務・常務・常任理事及び事務局長ら26人の総勢46人が出席し、互いに熱い意見を交わした。
◆再建するインフラ歩調合わせるべき
双方を代表して先にあいさつした畔蒜会長は「県内建設産業が直面する共通課題を取り上げ、県土整備部の幹部のみなさんと一堂に会し、質疑を交わすことができる貴重な機会」との認識を示したうえで、さきのアメリカ大統領選挙により、政治の公職や軍事関係の仕事にも就いたことがないトランプ氏が、次期大統領に選出された際の勝利宣言に言及。「その中には『中心市街地を立て直し、高速道路や橋、トンネル、空港、学校、病院を再建するインフラを、どこよりも優れたものに立て直す。建設の仕事のために何百万人もの人に従事してもらう』と述べている。これに対しては日本も歩調を合わせてもらいたい。いや、合わせるべきことだと考える」と主張した。
一方では、これらの情勢の中で「日本の現下の公共工事の発注量が、増加傾向に向かわないことが何よりも問題だ」と指摘。政府に対して「さきに成立した補正予算に盛り込まれた事業の早期執行と、2017年度当初予算における本年度を上回る規模の公共事業予算の編成など、国内経済の自律的回復を図るための対策に、本腰で取り組んでもらいたい」と期待を寄せた。
◆予算確保、建設産業活性化へ提案強化
他方、建産連については「公共事業関係予算の確保により、地方経済と地域建設業や関連する産業の活性化が図られるよう、今後とも提案活動を強化していかねばならない」と言明。今回の意見交換会では「公共事業予算の安定的確保に向けた対応や改正品確法の順守徹底、そのための体制整備に関することに加え、県と直接意見交換をする機会がない会員団体の個別のテーマも取り上げた」とし「県内建設産業全体の底上げに繋げていきたい」との考えを示した。
◆地域建設業の総力
一方、今月8日に発生した福岡市地下鉄七隅線の延伸工事に伴う市道の陥没事故に言及した畔蒜会長は、その復旧にあたって「1週間後に開通させたということは、まさに地域の建設業の総力を結集した結果だと思う」と言明。加えて「今後、我々の地域でも、決してそうしたことが起きないとは限らない。そこのところを県土整備部のみなさんにご理解を頂きながら、本県の県土整備にあたって頂きたい」と要望した。
最後に、意見交換に向けては、改めて県土整備部に対して「みなさんの率直な見解が示され、具体的な施策に結び付けて頂くとともに、有意義な会議となることを期待する」と述べ、あいさつとした。
◆官民が二人三脚で進むべき方向同じ
これを受けて野田県土整備部長は、地域の建設産業の役割として、ストック効果を重視したインフラ整備はもとより「昨今は激甚化しているのではないかと言われる災害に対する防災・減災対策に加え、老朽化したインフラの戦略的な維持管理や更新など、安全を支え、経済成長も支えていくという重要な役割が期待されている」と言明。それらは「今だけ良ければでなく、中長期的に各地域地域、各分野分野ごとにしっかり取り組むことが重要である」と指摘した。
また、そのためには「担い手をしっかり確保し、現場の生産性を上げ、若い人たちに入って頂けるような魅力的な職場にしていくこと。それをみなさんと我々が二人三脚で取り組んでいくことが大変重要である」と強調。官民挙げて、各分野で色々な取り組みを進める改正品確法、いわゆる担い手三法についても「これをさらに浸透させることに加え、我々は発注者の責務として、県自ら発注するものはもとより、市町村においてもしっかりその取り組みが進められるよう、働きかけをしていかねばならない」との認識を示した。
一方、県が昨年度から実施している「完全週休二日制」のモデル工事については「中々課題も多いが、魅力的な職場への環境を整えていくことは欠かせないこと」と指摘。社会保険未加入問題については「みなさんからしっかりと課題を聞かせて頂いて、我々もしっかり取り組む。進むべき方向は、大きく見れば同じだと思っているので、それに至る道筋をしっかりとつけるための意見交換会は重要だと認識している」と述べた。
他方、アイ・コンストラクションにおけるICT技術の活用については「千葉県の業界のみなさんに遅れをとらせる訳にはいかない。この件についても課題は多いと思うが、意見交換をしながら進めていきたい」と述べ、あいさつを結んだ。