石川県土木部公園緑地課は、金沢城公園第3期整備計画(15年12月に策定)に基づく「鼠多門」の復元整備に向け、(公財)文化財建造物保存技術協会に設計業務を委託し、鋭意進めている。
鼠多門(玉泉院丸門)は金沢城玉泉院丸の北西に位置し、門に取り付く形で鼠多門橋(木橋)が架かり、金谷出丸(かなやでまる、現在の尾山神社)へと通じていた。廃城後、1877(明治10)年には老朽化した鼠多門橋が撤去され、鼠多門は84(明治17)年に焼失。門の開口部については新たに積まれた石垣で閉塞、現在に至っていた。
明治初年の古写真や埋蔵文化財調査によると、鼠多門は石垣の上に2層の櫓(やぐら)が建ち、瓦葺き、外壁は海鼠(なまこ)壁だった。外周規模は南北間(全幅)22・54メートル、東西間(奥行き)7・82メートル。一方、いもり堀(外堀)に架かる鼠多門橋は橋長約29メートル、幅約5・5メートルと推定される。
なお、17年度国家予算編成に係る県重点事業の新規項目には「金沢城公園第3期事業鼠多門・鼠多門橋」(新規工事着手)が盛り込まれた。県では、17年度から鼠多門の復元整備などを目指しており、城郭としての魅力をより一層高めていく。