建通新聞社(神奈川)
2016/11/09
【神奈川】川崎市 福祉施設の再編整備を検討 老朽化に応じ順次建て替え、公設施設の民設化も推進 10年ごとに実施計画策定へ
川崎市は11月4日、市議会健康福祉委員会で、特別養護老人ホームや障害者入所施設など、高齢者・障害児者福祉施設の再編整備について検討状況を報告した。基本的な考え方(案)として、入所施設はおおむね築35年以上、通所施設はおおむね築40年以上(軽量鉄骨造はおおむね築20年以上)のものについて、老朽化の進行度合いに応じて、計画的に建て替えなどを行っていくとした。また、公設施設の場合、市有地にある施設で老朽化が進行している施設は建て替え民設化を、市有地にある施設で老朽化が進行していない施設は譲渡または貸し付けを選択する方向を示した。
ただ、対象となる施設数が多く、長期にわたり段階的に移転・再編を行っていくことになるため、今後施設の運営法人などと協議を行った上で2017年1月に「高齢者・障害児者福祉施設再編整備基本方針(案)を策定。その後、10年ごとに、対象期間中に着手する施設や実施年度、移転先や再編方法などを定める実施計画を策定する。基本計画と第1次実施計画は19年3月に策定する予定だ。
公設・民設とも高齢者・障害児者施設は老朽化が進んでいるが、現在の敷地内や近隣地で建て替え用地を確保できない施設が大半であり、多くの施設が市有地に設置されている。そこで再編整備に当たっては、サービス提供を継続しながら施設を更新するための方策を検討・調整する方針。市は4日の健康福祉委員会で、建て替え用地を種地として用意し、順次移転、建て替えていく「玉突き式」も想定していることを紹介したが、具体的な対象や順序などを今後協議・調整していくとした。
また、市では、福祉ニーズの増大と多様化に対応し、施設機能を効率的・効果的に活用するため、施設の更新と合わせた利用定員の増員、機能の集約・再編についても検討する。
民間により質の高いサービスが安定的に供給されるよう、施設整備にかかる行政支援の在り方を再構築すると同時に、民間によるサービル提供が可能となっているサービスを供給する公設施設について、今後の在り方を検討する。
高齢者・障害者福祉施設の再編整備に向けた基本的な考え方(案)と方向性(たたき台)は次の通り。
【再編整備の基本的な考え方(案)】
◆施設の老朽化への対応
入所施設はおおむね築35年以上、通所施設はおおむね築40年以上(軽量鉄骨造はおおむね築20年以上)について、老朽化の進行度合いに応じながら、計画的に建て替えなどを実施する。
◆施設機能の再編・統合など
老朽化対策などと併せて利用定員の拡充や他の施設機能への転換、新たな施設機能の追加に向けて、基盤整備の促進策を検討。民間により十分にサービスが提供されるようになっている公設施設は廃止し、民間主体でも必要なサービスが提供できるよう施設整備の在り方を検討する。
◆市有地を貸与する施設種別の整理
民間が独自にサービス基盤を整備することが困難なサービスについては、引き続き市有地を貸与することによる基盤整備を促進することとし、その対象種別を整理する(特別養護老人ホーム、障害児者入所・通所施設(生活介護を提供する施設に限る)など)。
◆公設施設の民設化
民間によるサービス手強が可能となっている公設施設は、老朽化対策と合わせて民設化する。老朽化対策の対象とならない施設(今後20年以上建て替えが不要な施設)は指定管理期間の更新時期を捉え、譲渡または貸し付けにより民設化する。
◆社会福祉法人の事業運営の確立
社会福祉法人の中長期的な事業計画を策定できる環境を整えるとともに、社会福祉法人制度改革への的確な対応を促進するため、再編整備の手法などを検討・調整する。
【再編整備の方向性(たたき台)】
◆公共施設
@市有地を提供する施設であって、老朽化が進行している施設⇒建て替え民設化(対象は特別養護老人ホーム、障害者入所・通所施設(生活介護を提供する施設に限る)など)
A市有地を提供する施設であって、老朽化が進行していない施設⇒譲渡または貸し付け(対象は特別養護老人ホーム、障害者入所・通所施設(生活介護を提供する施設に限る)など)
B民間で十分にサービスが提供される状況になっている施設⇒廃止(対象は公設のデイサービスセンター、わーくすなど)
◆民設施設
@市有地を提供する施設であって、老朽化が進行している施設⇒建て替え支援(対象は特別養護老人ホーム、障害者入所・通所施設(生活介護を提供する施設に限る)など)
A民間で十分にサービスが提供される状況になっている施設⇒事業者による対応(対象は老人デイサービス事業所、障害者通所施設(就労継続支援事業などのみ実施する施設)など)
◆指定管理制度を引き続き適用する施設
給付費だけでは運営が困難であり、市として政策的に活用する必要がある施設(対象は地域リハビリテーションセンター、障害者情報文化センター、身体障害者福祉会館(会館機能)など、中央・地域療育センター(公設・民設の運営状況を検証した上で、在り方を協議・検討する)
提供:建通新聞社