大京(渋谷区)は2日、都内で中期経営計画説明会を開催し、山口陽社長が経営課題への取り組みや新たな事業展開について説明した。同社は「ストック型社会の実現」に向け、収益構造の軸足をストック事業に移している。今後は自社管理物件以外のマンション大規模修繕工事の獲得を積極的に進め、5年後に約5,000億円に達する市場シェアのうち、10%を確保する計画だ。
山口社長は景気変動の影響を受けやすい収益構造を抜本的に見直すために、これまで実施してきた施策について「ストック(不動産管理・流通事業)とフロー(不動産開発事業)の両輪経営を確立することができた」と自社の状況を説明。2008年3月期の収益比率がストック22%、フロー78%のバランスだったが、16年3月期にはストック64%、フロー36%とストック中心の収益構造に転換している。
ストック事業で収益源となる分譲マンションの大規模修繕工事に関しては、「分譲マンション戸数の増加ペースがマンション開発件数の減少により鈍化するものの、第2回大規模修繕工事のピークはこれから。工事件数は確実に拡大する」と見通しを示した。
同社の推計によると、同社以外の企業も含めたマンション大規模修繕工事の市場規模は、21年3月期に4,940億円に達する。こうした市場規模の中、同社は21年3月期にシェア10%に当たる売上高500億円の確保を目指す。このうち、他社管理物件の大規模修繕工事の獲得による売上高として100億円を見込んでいる。
目標達成に向けて今後、採用を強化し施工人員を1.6倍に、積算要員を倍増する考え。さらに、外部営業専門部隊を設置し、管理会社やコンサルタントへの営業活動に注力する。
マンション開発事業では、事業開始から完了まで24カ月で回転できるようスピードを重視して実施。今後も土地取得などの面で無理せず着実に取り組む方針だ。
約4年前から強化した再開発事業では、地方で12物件、首都圏では▽板橋駅前▽三軒茶屋駅前▽青梅駅前に加え、神奈川県内で1物件の再開発を実施する計画だ。
再開発事業について山口社長は「まだまだ災害発生時に危険な状況に陥る地域が少なくない。不動産ソリューションを通じて課題解決に取り組んでいきたい」と社会貢献の側面にも触れた。
さらに同社は、新たに「一戸建て住宅リノベーション事業」「法人向けリフォーム事業」などに参入し、事業領域を拡大する。17年3月期〜21年3月期の5期で飛躍的な成長を目指し、不動産投資に1,000億円、研究開発投資と戦略投資に500億円を充てる。
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建通新聞社