「復旧復興工事の応援に行きたいが、宿泊地確保や道路凍結等を考えると躊躇する」―。熊本県建設業協会と阿蘇地域振興局との意見交換で、県北や県南など遠隔地の支部からこのような意見が相次いだ。
県は10月から変更設計での対応を始めたものの不安が解消できたとは言えず、抜本的な解決策として「復興係数による間接工事費補正」の実施を働きかけていくことで意見が一致した。
工事が本格化する前に、被害の大きかった阿蘇・上益城管内、熊本城の被災現況を調査し、未被災地区を含めオール熊本で復旧復興に繋げようと建設業協会が企画。上益城と阿蘇を除く10支部・2部会の役員ら38人が10月27・28日、一泊二日の日程で参加した。
27日に阿蘇建設会館であった県との意見交換には、阿蘇支部の森光也支部長と阿蘇地域振興局の坂井秀一土木部長らも出席した。挨拶で森支部長と坂井部長は、阿蘇管内の業者数・作業員数を考えれば広域大水害、地震、梅雨豪雨災害の全てを消化するのは難しいとして協力を求めた。
これに対し他支部からは「当支部も人が足りていない。積算方法など応援に行ける仕組みを考えてほしい」「阿蘇に来て赤字を出さずに帰れるのかみんな心配している」「道路凍結時に宿泊場所が確保できるのか」「事故が心配で片道2時間以上も通わせられない」など受注しやすい環境づくりに意見が集中した。
坂井部長は、遠隔地からの労働者を確保するために必要な赴任旅費や宿泊費、交通費などの間接費について10月から変更設計で対応しているとして「対価を適切に支払い、変更に時間を費やさないよう職員に指示している」と理解を求めた。
復興係数は、東日本大震災の被災3県で、土木工事を対象に共通仮設費に1・5、現場管理費に1・2の係数を乗じて補正している。坂井部長は「復興係数で上げられる積算となるよう求めていきたい」と話し、業界側も早期実現に期待感を示した。
業界からは▽道路凍結等を考慮し夏場に集中して施工できるような発注▽土地勘が無くても公告時に現場の情報・状況がわかるような仕組み▽経営計画を立てられるような今後の見通し公表―などの意見もあった。
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