海の森水上競技場は「コスト削減か仮設レベルによる恒久施設、または宮城県長沼ボート競技場」、オリンピックアクアティクスセンターは「1・5万席または2万席で新設し減築を取りやめ」、有明アリーナは「コスト削減または横浜アリーナの活用」―。都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームは、東京都が新設する恒久3施設の整備の在り方についてこんな提案をまとめ、11月1日に開かれた都政改革本部会議で報告した。小池百合子知事は「国際オリンピック委員会(IOC)からの意見もあり、あえて複数案を提示した。IOCと組織委員会、政府、都による4者会議で、この案を基に絞り込みをしていきたい」と述べた。
ボート・カヌー(スプリント)会場として利用する海の森水上競技場については、▽現行計画をベースにさらにコスト削減を検討する「恒設コスト改善案」▽グランドスタンド棟と艇庫棟を仮設レベルにし、締切堤上部工幅を縮小、TVポンツーン(仮設桟橋)の取りやめによる「仮設レベルスマート案」▽「長沼ボート競技場利用案」―の3案を提示。その上で、11月中に開かれる4者会議で、初期投資やランニングコスト、都民・県民の後利用、招致理念などに関して検討し、「11月中に判断していくべき」と提案した。
水泳会場とするアクアティクスセンターは、新設以外の選択肢として示していた「辰巳国際水泳場の改修」「辰巳隣接地での新設」「内陸部での新設・改修」について検討した結果、いずれも課題が多く実現可能性が低いと判断。一方、大会時に2万席を確保し、終了後に5000席にまで減築する現行計画について、減築に伴う費用が高すぎると指摘し、「1・5万席または2万席で恒久施設を新設し、減築を取りやめることで100億円を超えるコスト縮減を実現する」との案を示した。
バレーボール、車いすバスケットボールの会場とする有明アリーナについては、現行計画に基づき後利用やコスト削減の可能性を検討するとともに、仮設対応で施設基準を満たすことが見込める横浜アリーナの利用を検討した。その結果、1万5000席を配置する現行計画の規模は「適切」であり、「全仮設・一部仮設とするケースはコストが掛かる一方で体育館施設としての後利用価値が乏しい」と判断。一方、横浜アリーナは「好立地で世界大会の実績もあり、ホテルと接続するなど高い質を提供できる」とし、現行計画のままコストダウンを検討するか、横浜アリーナでの運営の可否を引き続き検討するよう求めた。
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建通新聞社