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建通新聞社(東京)
2016/11/02

【東京】都政改革会議 ロアリミットの限定運用求める

 東京都の調達・入札制度について検討してきた都政改革本部の内部統制プロジェクトチーム(PT)は、「最低制限価格を一律に設定する運用を改め、原則通り『特に必要のあるとき』に限定すべき」「最低制限価格を設定できない特定調達(WTO協定)を厳格に運用していくべき」との提言をまとめ、11月1日に開かれた本部会議に報告した。これに対し、武市敬財務局長は「公共工事の入札には競争性、透明性、公平性と同様に品質の確保も重視しなければならない。さらに、政策的には中小企業の保護育成の観点も欠かせない。これらを総合的にバランスを取りながら、より良い制度を構築していきたい」と述べた。
 内部統制PTは、都の現行の調達・入札制度について@予定価格の事前公表A1者入札B総合評価方式の運用C予定価格積算の妥当性D最低制限価格制度E特定調達(WTO協定)の運用―の6点を課題として挙げ、豊洲新市場と築地市場解体―の2件の工事をケーススタディーに、入札に至る経緯や開札結果などを確認した。
 4件に分割して発注した築地市場の解体工事では、いずれの案件でも最低制限価格を下回って失格となった共同企業体(JV)があった。また、予定価格の範囲内で同額となったため抽選で落札者を決めた案件も2件あった。
 同PTでは「最低制限価格を設定していなければ、もっと安く契約できたのではないか」「低価格でも落札を希望する業者が多数参加する場合、最低制限価格の“予想コンテスト”になってしまう」と疑問を呈した。
 また、都は15年度に臨時的措置として、予定価格250万円以上の競争入札案件に原則として最低制限価格制度の適用を始めたことから、15年度は99%以上の入札に最低制限価格制度が適用されている。同PTでは、都が最低制限価格を設定する根拠について「『特に必要がある』と認められる場合に限っており、本来は個別・例外的なはず」だと指摘。「最低制限価格を一律に設定する運用を改め、原則通り『特に必要のあるとき』に限定する」よう求めた。
 また、4工区に分割した解体工事の予定価格の総額が約42億円に上ることから、「一連の調達契約が締結される場合、特定調達の予定価格は各契約の予定価格の合計額とする」というWTO規定(特例政令)の定義が当てはまるのではないかとも指摘。4工区に分けて発注する場合でも「最低制限価格を設定できない特定調達を厳格に運用していく」ことが必要だとした。
 さらに、WTO政府調達協定の対象案件として発注した豊洲新市場についても、主要3棟の建築工事が1者(JV)入札で落札率が99%台だったことを問題視。不調となった1回目に対し、入札を辞退した事業者からヒアリングを行った上で再積算した2回目の入札の予定価格が1・6倍に増加したことから「予定価格積算の妥当性の検討」「1者入札が頻発する入札制度の運用改善」を求めた。
 武市局長は「これまで適切な入札契約制度の運用を行ってきたと考えているが、社会経済情勢や時代背景に応じた不断の見直しは必要だ。制度をさらに良いものとし、都民の目から見ても分かりやすいものとなるように努めていきたい」と述べ、中長期的な担い手確保などの観点も踏まえつつ制度の検討を進める考えを示した。

提供:建通新聞社