海洋再生エネルギー実証フィールドの実現に向け、県や関係者が動き出していることが分かった。候補地は十島村の口之島周辺。事業者としてIHI、県十島村海流発電実験企画がそれぞれ参画を予定し、11月にも住民説明会を開催したい意向だ。このうち、IHIは試験機の製作段階にあり、2017年秋ごろの試験開始を目指す。
国は、潮流や波力などの海洋エネルギーを利用した発電を推進している。発電に必要な実証実験を可能にする海域の確保を目的に「海洋再生可能エネルギー実証フィールド」を設け、14年度に全国から公募を実施。7県11海域から提案があり4県6海域を選定した。認定を受けると、メーカーや研究機関などの利用者らが、自ら開発した発電デバイスを海域に持ち込み実証実験を行えるようになる。
県は、十島村の口之島・中之島周辺海域の海流と長島周辺の潮流を提案。気象や海象条件等はクリアしていたが、参画する企業等が決まってないため保留とされた。その後、口之島周辺での海流が一定方向に安定した流れがあることなどから、IHIや県十島村海流発電実験企画が参加を表明。現在、県では、実証フィールドの認定を受けるため国と協議を進めている。また、長島周辺は潮流が早く、漁場や船舶の航行も多いことから断念した。
今後、IHIと県十島村海流発電実験企画はそれぞれ、全国でも例がないという海流を利用した海洋再生エネルギー発電を計画。IHIでは、予定している発電機より3分の1の大きさにあたる試験機の製作に入っているもようだ。