高知県は、基本設計を進めている新足摺海洋館について、平面計画や展示計画などの状況を25日に開かれた基本設計アドバイザリー会議で報告した。新施設は2階建てで、延べ床面積は現施設の約1・5倍となる3576平方bを想定、最大500dの水槽を57基設置する案を示した。
計画案によれば、黒潮の本流が直接陸地にぶつかる珍しい地域で、目の前が竜串湾という立地を生かし「展示内容を目の前の海で体験・体感できる日本初の水族館」をコンセプトとし、近くの竜串湾を代表するサンゴとそこに息づく生物を自然採光を取り入れながら500dの大水槽で再現する「竜串湾」、地域に植生するアコウ、スダジイや巨石群を再現した「足摺の原生林」、移動可能なユニット水槽を中心としユニークな特徴や習性を持つ魚類を中心に展示する「足摺の海」、天井に広がる180dの水槽を設置し水の中に入ったような演出をする「外洋」、大型種でも展示可能な低温水槽を設置する「深海」など七つの展示コーナーで構成する。観覧動線は現在の180bから280b、滞在時間は現在の30分から1時間30分、水槽数は現在の38基から57基にそれぞれ拡大する想定となっている。
外観コンセプトは、ガラス開口部で周囲の風景を取り込み内部の様子を表出、水平線のかすかなカーブや桜浜のなぎさの動きをモチーフとした屋根形状とし、全国屈指の降水量や海風などの厳しい気候条件に配慮した建物形状とする。
外構計画コンセプトでは、前面道路から桜浜を結ぶアプローチによって海への開放感と一体感を持たせ、生態系の保全に配慮し造成や伐採を最小限とする。また新設遊歩道とアプローチを接続し遊歩道沿いにフォリーを点在させる他、来館者の大半が車利用であることを踏まえ、駐車場からの歩行者空間に雨や日差し対策としてガレリアを設置する。
産学官で構成するアドバイザリー会議では、こうした検討状況について県が報告。コンセプトや各種計画について意見交換を交わし、今後の基本設計に反映させるとした。
新施設は現施設の西隣に建設、完成後は現施設を解体し、芝生広場などにする計画。今後のスケジュールは、来年2月に基本設計を完了させた後、2017年度は引き続き実施設計に着手、18〜19年度に建築などの工事を進め、移転作業などの準備を経て、20年夏の開館を目指す。
場所は土佐清水市三崎3039ノ1他、基本設計は大建設計(大阪市)、艸建築工房(高知市)の共同企業体が担当。
提供:建通新聞社