千葉県官公需適格組合受注促進協議会(中嶋敏夫会長)の正副会長は17日、県庁などを訪ねて「官公需適格組合等の受注機会の増大に関する要望」を行った。要望事項は「官公需適格組合の積極的な活用」をはじめとする7項目。中小企業者や官公需適格組合が官公需の受注を確保していくには「個々の自助努力のみでは自ずと限界がある」(同協議会)とのことから、地域経済を支える中小企業及び官公需適格組合等に対し、十分な官公需確保対策が実施されることを強く訴えたもの。
◆自治体に周知、ポスター作成
この日の陳情活動に県庁などを訪れたのは、中嶋会長(千葉県測量設計補償協同組合名誉理事長相談役)と、副会長の永井英行氏(千葉市書店協同組合相談役)。陳情先は、商工労働部経済政策課(高橋俊之課長)、総務部管財課(正木忍義課長)、県土整備部建設・不動産業課(清水生也課長)のほか、千葉県市長会(志賀直温会長)と千葉県町村会(岩田利雄会長)。県内には、官公需適格組合とその制度をあまりよく知らない自治体もあるとのことから、同協議会では「官公需適格組合をご存じですか?」をタイトルにポスターを作成。市町村等への配付に先立ち、この日の陳情活動に持参した。
◆中小企業者の受注確保が極めて重要
円安の進行に伴い、原材料価格の上昇や電気料金・燃料代負担の増加に加え、人件費が上昇する一方で人手不足が深刻化。これにより、企業収益の改善の動きは鈍く、中小企業者を取り巻く経営環境が厳しい状況の中での受注機会の確保は「極めて重要」とされる。県では「中小企業者に対する県の官公需契約の方針」を策定し、中小企業者の受注機会の増大のための措置を講じている。しかし、県内の発注者においては「中小企業向け発注額の減少」や「県外業者の相次ぐ参入等」が発生し、「県内中小企業の受注機会が図られているとは言い難い状況にある」(同協議会)という。
◆官公需適格組合制度の周知徹底
中小企業者で組織される官公需適格組合は、官公需の受注に対して特に意欲的であり、「受注した契約は十分に責任をもって履行できるだけの経営基盤が整備されている組合」であることを国が証明。しかし「中小企業者に対する県の官公需契約の方針」の中で「官公需適格組合等の活用」が明記されているにも関わらず、現状では「官公需適格組合を含めた中小企業者の受注機会が十分に確保されているとは言えない状況」にある。
このため、特に市町村をはじめとする各発注機関に対し「官公需適格組合制度」のより一層の周知徹底を図るとともに、発注時には「価格のみでなく品質も同等に評価し、官公需適格組合の積極的な活用」を要望したもの。
また、会計法並びに地方自治法施行令において設けられる「少額随意契約制度」が、発注機関の事務の効率化、迅速性を要する公共施設の維持、ライフラインの保全等に効果的で、地元中小企業の育成や地域経済の活性化に繋がることから、同制度の積極的な活用も要望。
◆ダンピング排除と最低制限価格導入
一方、県内中小企業者の厳しい経営状況を視野に入れたうえで、県に対して「採算を度外視したダンピング入札を排除し、適正価格での発注に努めること」を要望。低入札価格調査制度及び最低制限価格制度については、これを厳格に運用するとともに、市町村に対するこれらの対応の普及を図ることも要望した。
他方、一部の市町村のみの実施にとどまる「最低制限価格制度」については、未実施の市町村に対して同制度の導入の働きかけを行うとともに、未だ対象外の官公需特定品目など物品の購入でも早急に同制度を導入し、適正価格での発注に努めることを要望した。
7つの要望事項
○官公需適格組合の積極的な活用
○地元中小企業と中小企業組合の活用推進
○条例等の作成を通じて地方公共団体に対する官公需施策の普及
○少額随意契約の積極的な活用
○分離・分割発注の推進
○価格のみではなく、品質、地域貢献、雇用創出等を総合的に勘案し、受注者を決定する制度の導入
○ダンピング入札を排し、適正価格での発注