日刊建設工業新聞
2016/10/18
【鳥取】山陰近畿道(鳥取−福部)高速道路NW活かした地域づくり 市民160人がシンポジウムで理解深める
山陰近畿自動車道(鳥取−福部)を活用した地域づくりシンポジウム(県主催、鳥取豊岡宮津自動車道整備推進協議会共催)が16日、鳥取市内で開かれ、市民ら160人が参加し、高速道路ネットワークがもたらす効果や整備後の利活用について考えを深めた。
主催者あいさつで平井伸治知事は、山陰近畿道を未来につながるパイプと位置付けた上で、「山陰近畿道から山陰道、鳥取道を結ぶ南北線(鳥取−福部)の計画を事業化に向けて前に進めたい」と呼び掛けた。
基調講演では京都大学経営管理大学院の小林潔司教授が、急増するインバウンド(訪日外国人旅行)の観光客を「どう受け止めるのかが課題」と提起。その上で、バラエティ豊かな地元産を売る商店街の戦略が奏功し、大勢のインバウンド客で賑わう滋賀県長浜市の成功例を紹介した。
小林教授は「地域の根幹的なインフラである道路がないと話にならない。ただ、それだけではダメ。最大限に活用する努力が必要。したたかに産業を興して、インバウンド客の受け入れ態勢を早く整えないといけない」と訴えた。
パネルディスカッションでは小林教授をコーディネーターに、鳥取市の深沢義彦市長、鳥取商工会議所議員の西垣豪氏、鳥取市観光コンベンション協会理事の塚田武志氏、岩美町移住定住相談員の橋本悦さん−のパネリスト4人が意見交換。
橋本さんは駟馳山バイパスの開通で「岩美町から鳥取市内が近く便利になり、出ていた地元の人が戻ってきている」と、山陰近畿道の整備効果を強調。西垣氏は観光シンボルの鳥取砂丘について「観光客の滞在時間を長くするため、周辺を含めた一体的な魅力づくりに工夫していくことが大切」と思いを込めた。
塚田氏は「山陰近畿道がつながれば遠く北陸、北京都から人がやってくる。反面、素通りして出雲まで行ってしまう可能性がある」と指摘。観光地づくりに向け「第1次産業を観光に結び付け、地域の元気づくりに発展させたい」と語った。深沢市長は企業進出など高速道路のストック効果に触れ「地域経済の活性化だけではなく、医療福祉からも『命の道』として必要。ミッシングリンクの解消に力を合わせて取り組みたい」と協力を求めた。