建通新聞社(神奈川)
2016/10/11
【神奈川】川崎市 土地利用転換など論点に、30年後見据えて臨海部ビジョン
川崎市は、30年後を見据えた「(仮称)臨海部ビジョン」の策定に向けて、専門的知見を持つ学識経験者から意見を聞くための有識者懇談会を発足させた。10月5日に開いた初会合で市は、世界的な産業構造の転換、企業の再編・統合などを乗り越えて、臨海部が持続的に発展し続けるためのビジョンの必要性を説明。議論のたたき台として、産業や物流機能の高度化、最適配置に向けた土地利用転換などのテーマを提示した。
ビジョンでは、グローバルな将来予測を踏まえて、臨海部の企業と川崎市が中長期的に目指すべき将来像と、その実現に向けた戦略、直近10年間に取り組むべき方向性、先導的・モデル的プロジェクトを検討する。2017年2月上旬に中間とりまとめを行い、18年2月にビジョンを策定する。
有識者懇談会の他に、臨海部立地企業などとの「臨海部の活性化に向けた研究会」を立ち上げるとともに、企業や市民などの関係者へのインタビューを行い幅広く意見を集約する。
川崎市の臨海部では、基幹産業である石油化学産業の再編、水素など次世代エネルギーの推進など大きく環境が変化している他、設備の老朽化と更新なども課題となっている。
目指す都市拠点像として市が提示した項目は以下の通り。
▽石油化学、鉄鋼など基幹産業による設備更新・投資。最適配置に向けた土地利用転換。高機能・低炭素型素材を生み出す産業の高度化
▽ライフ、グリーン、ウエルフェアなどの社会実装。イノベーション拠点としての世界レベルの国際高度人材が集まり、育ち、交流する土壌づくり
▽水素や再生可能エネルギーの活用と産業化。IoT時代に対応した高度資源循環ネットワークの形成
▽地域全体での防災、減災、BCP、回復力強化に向けたハード、ソフト両面からの取り組み
▽羽田空港、国際港湾をはじめとした物流機能の高度化。高度な物流機能を支え、生活をつなぐインフラ整備
▽これまで臨海部に縁のなかった人が多数訪問したくなるような快適で楽しく過ごせる空間整備
提供:建通新聞社