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建通新聞社四国
2016/10/05

【高知】高知県 南海トラフ対策に7年間で2105億試算

高知県総務部は、今後の財政収支の試算について明らかにした。このうち、南海トラフ地震対策については、2016〜22年度の7カ年で2105億円を試算している。これは前年9月に15〜21年度の7カ年で試算した1744億円を大きく上回っている。
 17年度以降の設定の考え方として、今年3月に策定した「第3期行動計画」に掲げた取り組みを着実に推進するために必要な事業の見込みから推計した。住宅・建築物などの耐震化、緊急輸送路の確保、避難所・被災者対策などは積み上げにより計上。津波避難に係る交付金や補助金は、繰り越しも考慮し17年度概成として見込む。公共事業は、国の動向も勘案し、堤防耐震化などの必要な事業を概算で推計した。
 行動計画・分野別で見ると、「震災に強い人づくり」には37億円で、うち地域防災対策総合補助金に30億円など。「命を守る対策」には1329億円で、うち建築物などの耐震化に256億円、保育園・幼稚園、社会福祉施設などの高台移転に25億円、津波・高潮対策(公共)に499億円、津波避難対策交付金に39億円など。「命をつなぐ対策」には629億円で、うち避難所運営対策補助金に18億円、緊急輸送手段確保(公共)に558億円など。「生活を立ち上げる対策」には110億円で、事業継続計画策定支援に0・6億円などを見込む。
 県は、試算の前提条件として、歳入面では社会保障と税の一体改革による影響、決算剰余金、16年度地方交付税などを反映。国の「経済・財政再生計画」を踏まえ、一般財源は15年度と実質的に同水準とした、歳出面では、知事部局の職員数を3300人体制で固定し、社会保障関係経費(扶助費含む)は年3・2%増(国の推計伸び率を基に、人口動向を反映して推計)、公債費は積み上げた。普通建設事業費は、大規模事業、南海トラフ地震対策分は個別に積み上げ、通常分は過去5年平均と同水準とした。
 試算の結果、国の補正予算を有効活用したことなどにより、財政調整的な基金の残高が増加し、南海トラフ地震対策加速化に必要な経費について、昨年度の推計に比べ増加を見込んでも、安定的な財政運営の見通しが立てることができたとしている。県債残高は全国でも低水準にあり、国の経済対策に呼応して県債の発行額が大幅に伸び始めた1995年度末を下回る水準。南海トラフ地震対策など必要な投資事業の実施で一時的に増加するが、中長期的には徐々に減少する傾向を維持できるとしている。

提供:建通新聞社