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建通新聞社四国
2016/09/30

【愛媛】八幡浜市 建築工事の請負締結議案を否決

 八幡浜市が8月に実施した一般競争入札の建築工事請負締結議案が9月市議会で否決された。
 案件は宮内地区公民館新築の建築工事。入札は市内業者を対象に一般競争入札で8月5日に実施され大任建設、堀田建設、小西建設の3者が参加し、大任建設が1億7080万円で落札していた。予定価格は1億7238万6000円で事前公表されている。
 否決理由は「落札率99・1%の高さ」、「3者の応札額の差が50万円以内」、「落札者の過去工事において市内の下請け業者使用率の低さ」などが指摘された。
 市では本会議(21日)前、20日の総務委員会で請負締結議案が審議され否決する方向が固まったのを受け、3者から積算の根拠などヒアリングを実施するとともに、市への談合情報などもなかったことを本会議で説明したものの、請負締結議案は1人対14人で否決された。
 工事請負締結議案の否決は珍しく、近年では2014年10月に松山市が実施した東雲小学校改築の建築工事がある。同案件は一般競争入札を2度実施したものの参加者がなく3度目で落札者が決まり、請負締結議案を議会最終日に追加提出したが、「入札参加者が1共同企業体のみ」、「落札率が99・8%と高い」、「審議時間が短い(不十分)」などの理由から賛成少数で否決された。松山市の入札でも予定価格は事前公表されている。
 予定価格は直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費の合計で算出されており、歩切りの廃止から「予定価格」イコール「設計金額」となり、積算基準により算出された定価となる。
 今回、八幡浜市議会で落札率の高さが問題視されているが、定価に近い価格で落札して何が問題なのだろうか。落札率の高さを問題視することはダンピングを求めていることと等しい。応札者は入札に際して積算の根拠となる「工事費内訳書」も提出し、市も確認している。
 過当な競争によるダンピング受注の時代からやっと明るい兆しが見えてきたといわれており、担い手三法の改正により適正な受注競争へと歩みだしている。
 若年技術者の育成・確保など緊急の課題もあり、企業が存続・維持できるためにも利益が上がるように、落札率の高さを問題視する風潮に一石を投じたい。

提供:建通新聞社