福島建設工業新聞社
2016/09/30
【福島】今年度に基礎調査実施/風力発電構想
県は今年度内に、阿武隈山地と沿岸部(陸上)を対象とした風力発電構想で計画している共同送電線の基礎調査を実施する。ルートや規模、コスト等を調べ検討材料とする考えで、年度内の設立を想定している送電線の整備・管理事業体にデータを提供するなどして事業を促進し、32年度内の完成を目指していく。
構想は、風況に恵まれた阿武隈地域(11市町村)と沿岸部(7市町村)に、県主導で風力発電設備の設置を推進し復興をけん引することなどが目的。発電事業者による工事用道路や送電線等の無計画な設置、非効率な山林開発を防ぐ狙いもある。
送電線は、再生可能エネルギーの賦存量が豊富な阿武隈山地や双葉北部エリアのポテンシャルを生かして、風力発電だけでなく太陽光、小水力、バイオマスなど多様な発電設備が連系可能なものとする。小規模な発電設備にも配慮し、共同とすることで再生可能エネルギー全般の導入拡大を図る。ルートは東京電力・新福島変電所(富岡町)への接続を想定。環境に配慮し、敷設方法は道路埋設を基本に架空は部分的とする。
県は風力発電、送電線の完成目標を東京五輪開催の32年度に設定している。実現に向けては環境影響評価手続きと送電線の検討を早急に進める必要があるため、阿武隈地域の風力発電事業を行う仮事業者を公募。北部エリア(葛尾村〜川内村間)は福島復興風力梶A南部エリア(いわき市、楢葉町、広野町)はエコ・パワー鰍選定している。
送電線の検討組織は今月にも発足する見通しで国、県、電力会社等とともに仮事業者2社も検討に加わり、整備・管理形態など具体化に向けた本格的な協議がスタートする。
県は検討と並行して基礎調査を行う。調査は外部委託する予定。今年度内に送電線整備・運営事業体が決まると見ており、整備に必要な基礎データをそろえ、事業体による早期着工などにつなげたい考え。
阿武隈地域の南北両エリアの発電事業者については、年明け以降に本事業者の公募型プロポーザルを行う予定。沿岸部の発電事業者は冬期の風況データが一定程度そろい次第、公募手続きに入る。