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日刊建設タイムズ社
2016/09/27

【千葉】全国労働衛生週間に向けて/心とからだの健康確保/建災防京葉分会が事前説明会

 10月1日からの「2016年度全国労働衛生週間」に向けて建災防千葉県支部京葉分会(石神信夫分会長)は15日、市川市内の京葉建設会館で実施要領事前説明会を開いた。同説明会では、船橋労働基準監督署の小幡勝雄署長のあいさつをはじめ、市川市医師会で上白土ハートクリニックの上白土洋俊院長を講師に招いて「薬と副作用」をテーマとした特別講演のほか、船橋労基署安全衛生課の石井孝雄課長による「全国労働衛生週間実施要領の説明」で構成。同事前説明会には会員約50人が出席した。

 ◆「薬と副作用」で特別講演

 全国労働衛生週間は、「すべての働く人たちが快適な毎日を過ごす」ことを目指して行われるもので、1950年の第1回以来、本年で67回目を数える。今回のスローガンは「健康職場 つくる まもるは みんなが主役」。
 主催者を代表して石神分会長は、近年の全国労働衛生週間について「スローガンにもあるように、心とからだの健康確保対策が重要な課題となる」と指摘。また、この日の特別講演のテーマ「薬と副作用」について「薬には使い方次第で身体のために役立つものもあれば、害を及ぼすものもある」と述べるとともに「みなさんの知識に加え、健康な職場環境のさらなる整備が進むことを祈念する」と呼びかけ、あいさつとした。

 ◆脳や心臓疾患等の死亡をデータ分析

 来賓の小幡勝雄・船橋労働基準監督署長は、最近の労働衛生上の問題として「長時間労働などの過重労働に伴う脳及び心臓疾患の発症や、仕事上のストレスを要因とした精神疾患の発症などがある」と指摘。さらには「将来的に『受動喫煙対策の遅れが問題視される』のではと個人的には心配している」とし「これらの課題を解決するような数字を拾ってきたので紹介したい」と弁。

 ◆企業の積極的な対策、配慮、応援

 小幡署長は「労働衛生上の問題を理解するうえで少しでも役に立てて頂きたい」として、心筋梗塞等の虚血性心疾患、心停止、脳出血・脳梗塞等の脳血管疾患、大動脈瘤解離などの「脳・心臓疾患による死亡者数」をはじめ「自殺者数」「煙草による推定死亡者数」などについてデータをもとに説明。「これらの病気は、怪我と違って仕事との因果関係は分かりずらいが、とんでもない人数にのぼっている」と警鐘を鳴らすとともに「運動不足や性格などの個人の諸因が影響しているにしても是非、企業として積極的な対策や配慮、応援、本人の健康づくりへの後押しをお願いしたい」と要請した。
 さらに、県内では11月2日に千葉商工会議所で「過重労働解消のためのセミナー」が開かれることに言及し「『うちの会社はどうしても労働時間が長い』と感じる方は、是非とも出席して勉強して頂きたい」と呼びかけ、あいさつとした。

 ◆業務上疾病被災者/昨年は過去最少に

 建設業労働災害防止協会の錢高一善会長は、全国労働衛生週間に向けてのメッセージの中で、建設業における業務上疾病による被災者数に言及。長期的には減少し、昨年は過去最少の641人(前年比64人減)だったことを報告する一方で、内容については「負傷による腰痛が依然として多く全体の31・4%、石綿の労災認定件数も全産業の中で52・6%と高い比率を示す」と指摘。今後も、石綿含有建材を使用した建築物等の解体・改修工事の増加が予想されることから「これらの工事に従事する作業者の健康確保対策が重要となる」と強調する。

 ◆メンタルヘルス対策の推進の必要性

 改正労働安全衛生法により、昨年12月から事業者に対して、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)と、その結果に基づく医師等による面接指導及び事後措置の実施が施行。このことから錢高会長は、職業生活等における強い不安、ストレス等から来る精神障害を予防する「メンタルヘルス対策」の速やかな推進の必要性を強調。一方では、一定の危険・有害な化学物質を取り扱う場合いのリスクアセスメントの実施が「事業者の義務」となることから、管理の強化を呼びかける。
 これらの状況を踏まえて錢高会長は、全国労働衛生週間について「作業者の心とからだの健康と快適な職場づくりの重要性を再認識する良い機会」とし、会員に対して「経営トップの明確な方針のもと、企業の実態に応じた効果的な労働衛生管理活動を実践し、職場の安全衛生水準の一層の向上に努めてほしい」と要請する。k_times_comをフォローしましょう
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