国土交通省関東地方整備局は、建設業の担い手確保・育成、生産性の向上に向けて、全国の地方整備局に先駆けて独自の取り組み方針「“地域インフラ”サポートプラン関東2016」をまとめた。プランには全国の地方整備局で初となる「週休2日制確保モデル工事」と「工事工程表の開示」をセットにした試行の開始や、災害対応・担い手確保・育成貢献工事表彰制度の拡大、ICT土工体験講座の実施など速やかに始める取り組みと、準備が整い次第着手する取り組みを盛り込んだ。
方針では▽担い手の確保・育成▽生産性の向上▽広報活動―の三つを重点項目として掲げ、それぞれの項目に対応する全12の取り組みを示した。
担い手の確保・育成は、「休暇が取れる、安全な職場環境」を目指した四つのメニューに速やかに着手する。補正予算成立後の発注工事から本格的に開始する。
「週休2日制確保モデル工事」と「工事工程表の開示」のセット化は、2015年度に江戸川河川事務所が試行実施した工事工程表の開示を関東地整全体に拡大。入札公告の際に工期や関係機関との調整、住民の合意形成などの進捗状況を工程表として開示する。セット化することで週休2日の実現を目指す。
安全な工事現場に向けては、各都県建設業協会と連携し「工事事故情報のプッシュ型情報配信」を開始する。これまでは工事事故情報はホームページで公開して国発注工事の受注者に周知してきたが、今後は各建協の協力を得て、協会会員企業にメールで配信する。
災害対応、担い手の確保・育成工事表彰制度は、これまで利根川上流河川事務所と下館河川事務所で実施していたが、これを全事務所に拡大することで、それぞれの分任官事務所ごとに工事発注時のインセンティブとし、地域建設業の担い手育成につなげる。「若手技術者の活用」の評価形式の試行も拡大する。
生産性の向上は、五つのメニューに取り組む。
関東地整が初となる総合評価落札方式「簡易確認型」の本格実施と、「余裕期間制度」の積極的活用の二つは速やかに実施する。i-Constructionのさらなる取り組みと、施工時期平準化の目標設定・フォローアップ、書類スリム化点検―の3点は、準備が整い次第実施する。
i-Constructionについては、管内の都県・政令市や独立行政法人、高速道路会社、日本下水道事業団を構成員とする「関東i-Construction推進協議会」を10月中にも発足させる。i-Constructionの導入に関する情報共有を行い、各発注機関の公共工事への展開を図る。受注者側への展開策として、関東地整のICT活用施工現場でICT土工体験講座を開く。各都県に1カ所程度の現場を確保し、11月以降の開催を目指す。
書類スリム化点検は、東京・埼玉・千葉各建協との意見交換会で出された意見を踏まえて実施する。各建協と詳細を詰めた上で着手する考え。
広報活動は、建設業の魅力を伝えるホームページ「技術者スピリッツ」の開設と「設計変更ガイドライン活用ガイド」の作成・配布を直ちに実施する。また、建設業のイメージアップや、新たな担い手確保のために行う現場見学会を積極的に支援する。
関東地整発注の工事の受注者から申し出があった場合は、現場を開放するなど支援していく他、必要に応じて各事務所が連携して広報活動を実施する。
取り組み方針の名称は、本年度の各建協との意見交換会席上で、関東地整の大西亘局長が常に「地域の建設業は地域のインフラ」とあいさつしたことを受けて命名。担い手確保・育成、生産性向上に向けた取り組みをサポートしていく考えだ。
提供:
建通新聞社