熊本地震からの迅速な復旧・復興に向け熊本県は、復興JVの導入や発注標準額の引き上げ、指名競争入札の拡大など入札契約制度を大幅に見直す。復興JV(復旧・復興建設工事共同企業体)は、7000万円以上の土木一式工事にA2業者がJVで参加できる仕組み。地域要件(主たる営業所の所在地)を設定しないため、県内全地域のA2業者(約300社)が同じ条件で一般競争入札に参加できる。県内企業による広域的な施工体制を確保することで、入札不調・不落を防ぎ、早期の復旧・復興と県内建設産業の経営力強化に繋げる。適用は10月3日から。
震災関連等工事の入札方式は、土木工事(土木一式、舗装、法面等)について7000万円以上を一般競争、7000万円未満を通常指名、建築工事(建築一式、電気、管等)について5500万円以上を一般競争、5500万円未満を通常指名とする。
土木一式の発注標準額は、全ての工事を対象にA1=7000万円以上、A2=1500万円以上、B=500万円以上に引き上げた。このうち、震災関連等(28年豪雨災害と24年広域大水害含む)に限り、3億円以上を「復興JV(A1+A1またはA1+A2+A2)」、1億4000万円以上3億円未満を「復興JV等(A1+A2またはA1単体)」、7000万円以上1億4000万円未満を「復興JV等(A1+A2またはA2+A2またはA1単体)」とする。A2も地域要件は無い。
震災関連等は総合評価方式の評価も見直した。受注機会を確保するため、土木一式工事(震災関連等工事JS型)の場合、復興JVによる入札参加に5点と今年度受注工事件数に6点、土木一式以外の土木工事の場合、今年度受注工事件数に6点配点する。受注件数の配点は、受注が少ないほど加点され、2件以上受注していれば0点となる。一方、「優良工事表彰の有無」「継続教育単位取得数」「若手技術者の追加配置」は評価項目から削除した。
通常工事型(建築関係を含む全業種)の場合は、災害協定締結の1点とは別に、熊本地震等を含む災害支援活動実績に1点加点する。受注工事件数は最大2点加点する。
現場代理人の常駐義務緩和は全ての工事に適用する。専任の主任技術者配置を要しない小規模工事のみ施工する場合、同一地域振興局管内の3件以内で現行の「合計3500万円未満」を「合計7000万円未満」まで兼任可能とした。
懸念される労働者不足に対しては、工事個所の近隣だけでは労働者を確保できない場合、遠隔地の労働者を確保するために必要な赴任旅費や宿泊費、交通費などの間接費について適切な変更設計で対応する。
県は7月、地震関係工事に限り、総合評価方式での簡易型Sや、指名競争の拡大など、平成24年熊本広域大水害とほぼ同様に対応しており、更に踏み込んだ格好。16日の県議会一般質問で県土木部の手島健司部長は「これまでにない規模の事業量が見込まれる。県内建設業界の力を集結させて復旧復興にあたる必要がある」と理由を説明した。公共土木施設災害の発注時期については、現在査定中で、年末から本格化する見通しを示した。
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西日本建設新聞社